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[HDS16-02] L1正則化項付き線形回帰による津波予測に適した観測点配置の検討
キーワード:津波予測、沖合観測、L1正則化項
近年,日本周辺の海域には高密度な沖合津波観測網が整備されつつあり,これらを用いた津波予測システムが注目されている.我々の研究グループではこれまで沖合と沿岸の最大津波高の回帰による津波予測手法について研究を実施してきた(Baba et al., 2014; Igarashi et al. 2016).これらは既存の沖合観測点で得られた情報を最大限利用し,津波の予測を高精度化するものである.一方,この予測システムを沖合観測網の構築も含めて海外に展開することを考えると,どこに観測点を配置すれば予測が最も高精度化するかという問いにまずは答えなければならない.そこで本研究では,沖合で観測された最大津波高の線形回帰によって沿岸での津波を予測する際にL1正則化項(LASSO)を導入し各観測点の重要度を評価した.具体的には,南海トラフを震源とする地震を単純滑り1506ケース,大滑りを考慮した1116ケース,全部で2622ケースの断層モデルを作成し,非線形長波理論を用いて津波の伝播計算を行い津波データを生成した.徳島県浅川湾を対象とし,沖合のGPS波浪計とDONET海底水圧計の合わせて57観測点の最大津波高と湾内の最大津波高をL1正則化項付きで線形回帰した.その結果,浅川湾ではRMS残差で1m未満の予測精度を12観測点で実現可能であることが分かった.予測に用いる12観測点は,紀伊半島以西を中心に存在しており,これは浅川で津波高の予測をするにあたっては紀伊半島以東のデータはそれほど重要でないことを示唆している.