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[HDS16-04] 波形干渉法による深海水圧記録からの津波の抽出
キーワード:津波波形干渉法、DART、津波波形、津波位相速度、分散性津波、海底水圧計の相互相関波形
過去10年ほど、地震波干渉法が地下を調べる手法としてよく使われるようになった。地震波干渉法は、2地点の地動の連続記録の相互相関を重合することにより、地震がなくとも2点間を伝播する仮想的地震波を抽出することができる。津波波源がなくとも津波波形を抽出するため、波形干渉法を深海底の圧力連続記録に適応してみた。
深度5500-5900mに設置された太平洋西縁にある3DART観測点(21418, 21413, 52401)の2011—2015年の連続記録を津波干渉法に用いた。観測点間距離は956-2265kmである。潮汐を除去した4時間ないし8時間の時間窓の波形に対し、それぞれ6次の多項式で長周期成分をと取り除き、時間領域でone-bit化し、周波数領域で振幅スペクトルのwhiteningを行った。時間窓の半分の重複を許し3年間分の相互相関を重合した。最終的に得られた波形は、2点間を伝播する仮想的な津波の到達時刻に向けて徐々に振幅が増大している。そして到達時刻には振幅が正から負に急峻に変化するのが観測された。
この特徴的な波形は深海域の津波が広い周期帯でほぼ非分散であることを反映している。理論的には遠方から入射する2次元非分散波の相互相関は、2地点間を伝播する仮想的な波の走時の到着時刻前に振幅が増大し、到着時刻以後は急激に減少する。これは、2地点間を伝播する仮想的な波の伝播時間よりも平面波の到達時刻差が大きくなることはなく、斜めに入射する平面波の2地点への到達時刻の差は2地点間を伝搬する仮想的な波の伝播時間よりも短いため、また、全方向から入射する平面波の干渉の結果2点を結ぶ方向からやってくる平面波の相互相関が最大になるためである。実際には分散性表面重力は長波の速度よりも遅く伝わり仮想的な津波の後に現れる。
抽出された仮想的津波の波形を使い、2地点間の津波の位相速度を解析した。2次元円筒波を仮定し測定された位相から初期位相を差し引き、仮想的津波の周期300秒から3000秒の位相速度を測定することができた。測定値は水深から予測される津波位相速度とよく一致していた。周期300秒付近では、表面重力波理論による位相速度低下に相当する、長波速度からの明瞭な減少も検出された。
深度5500-5900mに設置された太平洋西縁にある3DART観測点(21418, 21413, 52401)の2011—2015年の連続記録を津波干渉法に用いた。観測点間距離は956-2265kmである。潮汐を除去した4時間ないし8時間の時間窓の波形に対し、それぞれ6次の多項式で長周期成分をと取り除き、時間領域でone-bit化し、周波数領域で振幅スペクトルのwhiteningを行った。時間窓の半分の重複を許し3年間分の相互相関を重合した。最終的に得られた波形は、2点間を伝播する仮想的な津波の到達時刻に向けて徐々に振幅が増大している。そして到達時刻には振幅が正から負に急峻に変化するのが観測された。
この特徴的な波形は深海域の津波が広い周期帯でほぼ非分散であることを反映している。理論的には遠方から入射する2次元非分散波の相互相関は、2地点間を伝播する仮想的な波の走時の到着時刻前に振幅が増大し、到着時刻以後は急激に減少する。これは、2地点間を伝播する仮想的な波の伝播時間よりも平面波の到達時刻差が大きくなることはなく、斜めに入射する平面波の2地点への到達時刻の差は2地点間を伝搬する仮想的な波の伝播時間よりも短いため、また、全方向から入射する平面波の干渉の結果2点を結ぶ方向からやってくる平面波の相互相関が最大になるためである。実際には分散性表面重力は長波の速度よりも遅く伝わり仮想的な津波の後に現れる。
抽出された仮想的津波の波形を使い、2地点間の津波の位相速度を解析した。2次元円筒波を仮定し測定された位相から初期位相を差し引き、仮想的津波の周期300秒から3000秒の位相速度を測定することができた。測定値は水深から予測される津波位相速度とよく一致していた。周期300秒付近では、表面重力波理論による位相速度低下に相当する、長波速度からの明瞭な減少も検出された。