JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS16] [JJ] 津波とその予測

2017年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 コンベンションホールA (国際会議場 2F)

コンビーナ:行谷 佑一(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、山本 直孝(防災科学技術研究所)、座長:山本 直孝(防災科学技術研究所)、座長:谷岡 勇市郎(北海道大学大学院理学研究科地震火山研究観測センター)

11:45 〜 12:00

[HDS16-11] 1741年渡島大島での山体崩壊と津波遡上域の数値シミュレーションによる再現

*伊尾木 圭衣1柳澤 英明2谷岡 勇市郎3川上 源太郎4加瀬 善洋4仁科 健二4廣瀬 亘4石丸 聡4 (1.産業技術総合研究所、2.東北学院大学教養学部地域構想学科、3.北海道大学大学院理学研究院地震火山研究観測センター、4.北海道立総合研究機構 地質研究所)

キーワード:津波、地すべり、北海道

1741年北海道渡島大島での山体崩壊により津波が発生した. この津波は, 渡島半島や津軽半島の日本海沿岸に大きな被害をもたらした. 津波堆積物調査より, 北海道奥尻島沿岸と檜山沿岸において, この津波による津波堆積物が確認された. 渡島大島噴火による地すべりと, それに伴う津波のシミュレーションをおこない, 地すべりの崩壊堆積物の分布, 歴史記録による津波の高さ, 津波堆積物の分布, すべてを説明することができるモデルを構築した. まず渡島大島北側の範囲において海底地形調査データ(Satake and Kato, 2001)を用い, 地形判読による山体崩壊の崩壊範囲, 堆積範囲の推定をおこなった. さらに山体崩壊前の地形復元, 崩壊土量の再見積もりをおこなった結果, 崩壊土量は2.2 km3と見積もられた. これらをもとに, 土塊と水塊を考慮した二層流モデル(地すべり・津波統合モデル:柳澤他, 2014)を用いて, 地すべり・津波シミュレーションをおこなった. その結果, 地すべりのふるまいは, 海底斜面をゆっくりすべり15分程度で停止する. 一方津波のふるまいは, 土塊が斜面をすべり 1分程度で最大波となる第一波が発生する. 計算された崩壊堆積物の分布は, 地形判読による崩壊堆積物の分布と概ね調和している. また北海道奥尻島沿岸と檜山沿岸における計算された津波の高さは, 歴史記録による津波の高さと概ね調和的である. 計算された津波浸水範囲は, 津波堆積物調査より確認された津波堆積物の分布範囲を若干超える範囲まで到達した.