13:45 〜 14:00
[HDS16-13] 海底観測網と即時津波予測システム
★招待講演
キーワード:津波、即時予測、DONET
2011年の東北地方太平洋沖地震では、特に津波による被害が甚大であった。この津波に対する対策が被害軽減には重要である。被害軽減のためには、啓発活動を視野に入れた対策が必要で、津波発生時の現実的な対応シナリオが求められる。そのためには津波の早期検知と津波発生から到達、浸水までの一連の状況把握が欠かせない。
将来の巨大地震発生が懸念される南海トラフでは、地震・津波観測監視システム(DONET)が整備され運用されている。このDONETを用いた即時津波システムは海洋研究開発機構によって開発され、防災科学技術研究所と連携して高度化が進められている。ここで構築された即時津波予測システムは、データベースを抱えて、断層モデルの特定よりも津波伝播による振幅の増幅に着目したものである。DONET観測点における水圧値と沿岸の予測地点の津波高の相関性に着目し、入力されるDONETの水圧値に応じて予測地点の津波高や到達時間、浸水エリアを推定する。DONETの空間的な広がりを利用し、1500ケースを超える断層モデルからDONETで観測された地震と津波を検知し、その時間差から断層モデルを絞り込むとともに、ある予測地点にとって最適なDONET観測点の組み合わせを、津波を検知した観測点の中から逐次求め、それらの水圧値を入力情報とすることで、予測の精度の向上を図った。このシステムは、DONET1を利用したシステムが和歌山県、三重県、中部電力、尾鷲市に実装済みで、現在、DONET2を用いた新しいシステムを検証している。このシステムは断層モデルを特定せず、津波伝播の状況から最もその予測地点にとって可能性のある最悪のシナリオを抜き出すことになる。つまり、すべりの不均質や海底地すべりのような局所的な影響を反映させやすいシステムである。また、啓発活動のために、事前に計算した断層モデルを用いた予測評価も可能である。
このようなシステムの実装には観測データの品質評価が欠かせない。そのデータ品質を踏まえ、自治体での運用を考え、欠測の可能性を含めた様々な事象に対応できる柔軟性と、運用上のわかりやすさも必要になる。予測手法や可視化手法は、その目的や地域性によって変わるだろう。複数の予測値が利用者を混乱させないような工夫は必要であるが、予想手法や可視化手法において、ハイブリッドなシステムを目指す予定である。
将来の巨大地震発生が懸念される南海トラフでは、地震・津波観測監視システム(DONET)が整備され運用されている。このDONETを用いた即時津波システムは海洋研究開発機構によって開発され、防災科学技術研究所と連携して高度化が進められている。ここで構築された即時津波予測システムは、データベースを抱えて、断層モデルの特定よりも津波伝播による振幅の増幅に着目したものである。DONET観測点における水圧値と沿岸の予測地点の津波高の相関性に着目し、入力されるDONETの水圧値に応じて予測地点の津波高や到達時間、浸水エリアを推定する。DONETの空間的な広がりを利用し、1500ケースを超える断層モデルからDONETで観測された地震と津波を検知し、その時間差から断層モデルを絞り込むとともに、ある予測地点にとって最適なDONET観測点の組み合わせを、津波を検知した観測点の中から逐次求め、それらの水圧値を入力情報とすることで、予測の精度の向上を図った。このシステムは、DONET1を利用したシステムが和歌山県、三重県、中部電力、尾鷲市に実装済みで、現在、DONET2を用いた新しいシステムを検証している。このシステムは断層モデルを特定せず、津波伝播の状況から最もその予測地点にとって可能性のある最悪のシナリオを抜き出すことになる。つまり、すべりの不均質や海底地すべりのような局所的な影響を反映させやすいシステムである。また、啓発活動のために、事前に計算した断層モデルを用いた予測評価も可能である。
このようなシステムの実装には観測データの品質評価が欠かせない。そのデータ品質を踏まえ、自治体での運用を考え、欠測の可能性を含めた様々な事象に対応できる柔軟性と、運用上のわかりやすさも必要になる。予測手法や可視化手法は、その目的や地域性によって変わるだろう。複数の予測値が利用者を混乱させないような工夫は必要であるが、予想手法や可視化手法において、ハイブリッドなシステムを目指す予定である。