15:00 〜 15:15
[HDS17-06] 新潟県南部の地すべり密集地帯における高塩濃度地下水の分布
キーワード:深層地下水、比抵抗、地すべり
新潟県南部の丘陵地は,主に新第三紀層が分布し,全国でも有数の地すべり多発地帯である.それら地すべりの原因は,岩石が軟質で風化しやすいためと考えられてきたが,近年では,高塩濃度地下水の存在する地すべりが本地域に点在することが分かり,高塩濃度地下水が地すべりに影響をおよぼしている可能性が高いことが指摘されている(渡部ほか,2009).しかし,高塩濃度地下水が本地域において普遍的に存在するかどうかについては確認されておらず,また,それと地すべりとの関係も実証されていない.本研究では,多数の地すべり地形を含む一つの背斜構造を調査対象とし,その地下における高塩濃度地下水の空間分布を明らかにすることを目的とする.
調査地域は,新潟県上越市安塚区の長倉山背斜周辺である.その背斜軸は地形的な尾根にほぼ沿っており,斜面には多数の地すべり地形が存在する.尾根沿いには線状凹地が分布し,その一部は池となっている.調査地域の地質は,新第三系の泥岩と凝灰岩である.長倉山背斜は,NNE-SSW方向の軸を有し,その周辺にはほぼ並行する背斜・向斜が配列している(竹内・加藤,1994).
地表踏査により,地質構造を明らかにした上で,地下約1,000 mまでの比抵抗分布が得られる電磁探査法(CSAMT法)を用い,調査地域の地下の比抵抗分布を求めた.測線は背斜軸を横断する2測線であり,A測線では19測点,B測線では13測点で地下に誘導された電磁場を測定した.測定したデータから,Uchida and Ogawa(1993)の二次元逆解析ソフトを使用し,比抵抗断面を作成した.
調査地域に点在する地すべり対策用の集水井および水抜き横孔の水を採水し,高塩濃度地下水の混入の有無を確認する目的で分析を行った.また地すべり調査用に掘削されたボーリングの地下水検層データから深度方向の比抵抗分布を検討した
地表踏査の結果,長倉山背斜の地質構造は,複雑な複背斜構造を形成していることが明らかになり,また,背斜構造にほぼ平行な断層が存在することが推定された.
A測線およびB測線の比抵抗断面図には,凝灰岩の分布する位置が高比抵抗領域となる共通の特徴が認められた.また, 10 Ωm以下の低比抵抗の分布域が両断面に広く存在することが分かった.この比抵抗値は,調査地域の岩石の比抵抗特性から,高塩濃度地下水に起因すると想定される.また,凝灰岩の分布域を除いて,比抵抗値がほぼ深度100 mよりも深い部分で小さく,浅い部分では大きいことも明らかになった.
採水した地下水の中には,96.2~408 mS/mの高塩濃度地下水があることが認められた.しかし,現時点においては化学分析が進んでいないため,渡部ほか(2009)の化石水由来の地下水の混入が認められるかについては分かっていない.今後,分析を進め,高塩濃度地下水の水質特性について明らかにする予定である.
本調査の結果,調査地域には高塩濃度地下水が広域に分布することが明らかとなり,これまでの研究で地すべり地内において認められた高塩濃度地下水が,調査地域の地下100 m以深に普遍的に存在する可能性がある.
今後は,このような地下水の水質特性を明らかにした上で,地すべり等との関連性について検討していく必要がある.
調査地域は,新潟県上越市安塚区の長倉山背斜周辺である.その背斜軸は地形的な尾根にほぼ沿っており,斜面には多数の地すべり地形が存在する.尾根沿いには線状凹地が分布し,その一部は池となっている.調査地域の地質は,新第三系の泥岩と凝灰岩である.長倉山背斜は,NNE-SSW方向の軸を有し,その周辺にはほぼ並行する背斜・向斜が配列している(竹内・加藤,1994).
地表踏査により,地質構造を明らかにした上で,地下約1,000 mまでの比抵抗分布が得られる電磁探査法(CSAMT法)を用い,調査地域の地下の比抵抗分布を求めた.測線は背斜軸を横断する2測線であり,A測線では19測点,B測線では13測点で地下に誘導された電磁場を測定した.測定したデータから,Uchida and Ogawa(1993)の二次元逆解析ソフトを使用し,比抵抗断面を作成した.
調査地域に点在する地すべり対策用の集水井および水抜き横孔の水を採水し,高塩濃度地下水の混入の有無を確認する目的で分析を行った.また地すべり調査用に掘削されたボーリングの地下水検層データから深度方向の比抵抗分布を検討した
地表踏査の結果,長倉山背斜の地質構造は,複雑な複背斜構造を形成していることが明らかになり,また,背斜構造にほぼ平行な断層が存在することが推定された.
A測線およびB測線の比抵抗断面図には,凝灰岩の分布する位置が高比抵抗領域となる共通の特徴が認められた.また, 10 Ωm以下の低比抵抗の分布域が両断面に広く存在することが分かった.この比抵抗値は,調査地域の岩石の比抵抗特性から,高塩濃度地下水に起因すると想定される.また,凝灰岩の分布域を除いて,比抵抗値がほぼ深度100 mよりも深い部分で小さく,浅い部分では大きいことも明らかになった.
採水した地下水の中には,96.2~408 mS/mの高塩濃度地下水があることが認められた.しかし,現時点においては化学分析が進んでいないため,渡部ほか(2009)の化石水由来の地下水の混入が認められるかについては分かっていない.今後,分析を進め,高塩濃度地下水の水質特性について明らかにする予定である.
本調査の結果,調査地域には高塩濃度地下水が広域に分布することが明らかとなり,これまでの研究で地すべり地内において認められた高塩濃度地下水が,調査地域の地下100 m以深に普遍的に存在する可能性がある.
今後は,このような地下水の水質特性を明らかにした上で,地すべり等との関連性について検討していく必要がある.