JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] [EE] Geomorphology

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-P08] Laboratory experiment of river terraces formation under tilting uplift

*山村 美稀1遠藤 徳孝1 (1.金沢大学大学院 自然科学研究科 自然システム学専攻 地球環境学コース)

キーワード:terrace, formation

河成段丘は過去の河床を記録しており、離水年代を示す。このことから、段丘から直接的に侵食速度を定量化することができる。段丘の形成は複雑で、一度の変動に対して複数の段丘が形成し、急激な変化がない一定の海水準の低下でも段丘が形成されうることが確認されていることから、段丘から単純に古地形を再現することが難しく、精度よく再現する方法が確立されていない。
 本研究では、時間経過の観察が可能なモデル実験を行い、一定の山側傾動隆起に対する段丘形成のタイミング、河川と段丘の縦断形、流路位置、段丘の高さと長さの時間変化、について調べることを目的としている。
 水槽に標準砂とカオリナイトの量比を10.5:1で混合した砂を初期斜面1°で水槽に敷き詰め、スプリンクラーで霧状の雨を降らせることによって地形を発達させていくモデル実験を行った。河口側に設けた傾動モーターを用いて、河口をゆっくりと下げることによって相対的な山側傾動隆起を再現している。はじめの40分間は地形を発達させるために隆起をさせずに雨を降らせた。その後の試行は隆起をさせながら、雨を20分間降らせ、その後の地形をカメラで撮影する作業を繰り返し行った。写真測量から1mmメッシュDEMを作成した。
ある一つの流路に沿って8個の段丘(T1-T8)を観察することができた。河川と段丘の縦断形を作成すると、段丘は形成後隆起の影響を受けて勾配が時間経過で急になり、段丘縦断形は河川縦断形の下流に向かって収束して、先行研究の数値モデルと矛盾がない。河川の側方方向の移動変化が大きく、特に河川の下刻速度が高いときに段丘が形成されている。また、段丘の長さは河川の側方方向の移動が小さくなり、段丘と河床との高低差が短時間に大きくなるとその長さは変わらなくなる。段丘は形成後に短くなるばかりでなく、下流側にのびることがある。段丘面はすべてが同時間面でないことがありうる。
 隆起だけでなく、河川の側方方向の移動や下刻速度が段丘形成、形成後の存在の仕方に影響していると考えられる。一定の傾動隆起下の実験で、下刻側刻が自発的に振動していることが数値的に確かめられた。
 先行研究で示されている蛇行切断による内因的段丘形成以外に、河川の自発的な侵食速度の振動でも段丘が形成されうることを示唆している。河床変動は氷期間氷期の土砂生産が原因であるとしている先行研究があるが、気候的外力がなくとも河床が変動しうることをこの実験から示唆できる。