JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM04] [JJ] 地形

2017年5月22日(月) 09:00 〜 10:30 105 (国際会議場 1F)

コンビーナ:島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)、座長:八反地 剛(筑波大学生命環境系)

09:50 〜 10:05

[HGM04-04] 梓川上流,上高地における2011年以降の降雨,水位変動,地形変化の関係

*島津 弘1 (1.立正大学地球環境科学部地理学科)

キーワード:河川地形、地形変化、側方侵食、降雨、水位変動、上高地

本研究の目的は上高地の梓川上流における河道の地形変化プロセスを降雨,水位変動との関係から検討することにある.方法は,継続観察地設け,毎年夏季に詳細な測量に基づき地形分布を記載するとともに,インターバル撮影カメラを用いて継続観察地を撮影し,洪水時の水位変化と洪水前後の地形変化を記録した.降雨はAMeDAS上高地観測所のデータを使用した.あわせて,秋季に横断測量を実施した.本研究の解析では,カメラを設置した2011年7月3日以降を対象とする.結果は以下の通り.この期間で大きな地形変化が見られたのは,2013年6月16日で,このときには日降水量166mmを記録した.消雪後,梅雨明け前までの期間で,日降水量100mm以上を記録したのは,この1回だけであった.この期間においては,日降水量50mm程度であっても,大きな水位上昇がみられた.一方,秋季に日降水量100mm以上を記録した日がみられたが,水位上昇は小さく,地形変化は起こらなかった.2016年には梅雨期間中の6月25日に86.5mmの日降水量があり,夏季の8月30日にもほぼ同じ85.5mmの日降水量を記録した.前者の時には70cm程度の水位上昇が見られて河道の1/3程度が水没したが,後者では水位上昇は50cm程度で,中州も水没しなかった.前者の時にはわずかに側方侵食が起こった.
今までの観察では,日降水量が100mmを大きく上回ったときに,幅の広い河道がほぼ満水状態となり,流路の位置が大きく変化した.既存の流路が埋積されて浅くなったり,細くなったりすると同時に,新たな深く,幅の大きな流路が形成された.このとき,河道の側方移動は生じなかった.一方,梅雨期間中に80mm程度の日降水量の降雨の時には,稼働の一部が水没する程度の水位上昇が生じ,流路がわずかに側方侵食を行い,流路幅が拡大した.梅雨明け前の数十mm程度の日降水量の時には,地形変化が生じる程の水位上昇は起こらなかった.梅雨明け後の降雨の場合,かなり日降水量が多い場合でも,水位上昇は限定的であった.