11:00 〜 11:15
[HGM04-06] 異なる基盤岩の斜面で発生する表層崩壊に関与する土層の性質の鉛直方向の変化と降雨浸透過程
キーワード:花崗岩、ホルンフェルス、表層崩壊、2014年広島豪雨災害
広島市北部の花崗岩と接触変成岩を基盤とする山地斜面で発生する表層崩壊を対象に,土層の物理的・力学的・水理学的な性質の深度方向の変化を詳細に分析し,また降雨浸透過程の違いを明らかにした.その結果,風化生成物である土層の粒径の違いが,透水性や力学的強度および降雨浸透過程に強く影響を及ぼしていることがわかった.花崗岩の土層は主に砂や礫からなる.土層と土層直下の強く風化した基盤岩との間には透水性の大きな差異はなく,いずれも10-3−10-2 cm/secとなった.接触変成岩の斜面はシルトや粘土の多い粘着質の土層で構成され,その透水係数は10-2−10-6 cm/secで深部ほど減少した.飽和状態におけるせん断抵抗角は花崗岩の土層で相対的に大きく,粘着力は接触変成岩の土層で相対的に大きくなった.透水性の良い花崗岩の斜面では降水が浸透するときの圧力水頭の応答が速やかであるのに対して,透水性の悪い接触変成岩の土層深部ではより遅れて応答が始まった.無限長斜面の安定解析により,花崗岩斜面で発生した多くの崩壊地は正水圧の発生を考えない場合の臨界線の近傍にある.一方で,接触変成岩では崩壊の発生には正水圧が必要となる.以上の結果は,地質ごとに崩壊発生を規定する要因が異なることを示している.