JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR05] [JJ] ヒト-環境系の時系列ダイナミクス

2017年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 106 (国際会議場 1F)

コンビーナ:須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、水野 清秀(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)、米田 穣(東京大学総合研究博物館)、座長:須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、座長:水野 清秀(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

10:15 〜 10:30

[HQR05-06] アラスカ半島沖Patton Seamountで採取された海底コアにおけるDawson tephraの発見

*青木 かおり1 (1.立正大学)

キーワード:ドーソンテフラ、アラスカ半島、海底コア

筆者は2009年にSO202-INOPEX航海でアラスカ半島沖のPatton Seamountで採取されたジャイアントボックスコア試料SO202-27-6中に介在するテフラについて報告する.コア試料SO202-27-6は北東太平洋54°17.77’N ,149°36.01’Wの水深2919m,Patton Seamount上で採取されたコア長は2.92mの遠洋性軟泥堆積物である.2層の明瞭なテフラ層が確認されており,上位(深度119-122cm;ID93,ID94)は2ヶ所から試料を採取し,下位(深度135-138cm;ID95)は薄いテフラ層である.ID93 は最大粒径3mm程度で良く淘汰された白色~灰色の火山灰で,堆積相は級化構造が観察され,最大粒径9mm程度の石質岩片が含まれる. ID95は細粒の火山ガラスを含むが全体的に極めて砂質である.
電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で得られたID93の火山ガラスの主元素組成は流紋岩質で,Mangan et al.(2003)に掲載されたDawson tephra (ca.27 ka)と極めて酷似する.また,ID93についてガラスビード法で蛍光X線分析による元素分析を行ったところ,Mangan et al.(2003)の軽石の全岩主元素組成とも良く似る.
Dawson tephraはこれまでアラスカ半島南西部のEmmons Lake volcanoを給源とする最終氷期最寒期における最大の広域テフラの一つで,ユーコン準州西部~中央部のレス堆積物中で確認される. 海洋域におけるDawson tephraの発見は本報告が初めてである.

Mangan et al. (2003), Emmons Lake Volcanic Center, Alaska Peninsula: source of the later Wisconsin Dawson tephra, Yukon Territory, Canada. Canadian Journal of Earth Science, 40, 925-936.