JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE18] [JJ] 再生可能エネルギーの効果的な利用に向けた地球科学データの活用

2017年5月22日(月) 09:00 〜 10:30 202 (国際会議場 2F)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、野原 大輔(電力中央研究所)、座長:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

09:00 〜 09:15

[HRE18-01] 北日本沿岸の洋上風況への地形性強風の影響

*島田 照久1 (1.弘前大学大学院理工学研究科)

キーワード:洋上風況、風力エネルギー、北日本、衛星観測

北日本の陸上および沿岸海域は、日本の中では、風力エネルギー資源が豊富であることが示されている。そして、風力エネルギーの賦存量が大きい地域では、一般風が強いことに加えて、地形性強風が頻繁に発生していることが示唆されている。しかしながら、局地的に発生する地形性強風の観測はまだ十分でなく、発生メカニズムを扱った研究も少ない。風力エネルギーの利用が進むにつれて、風力エネルギー賦存量の詳細な把握、風力エネルギーの変動要因の理解、風力発電の出力予測の改善が求められるようになっており、地形性強風の気象学的な理解が必要である。

本研究では、津軽海峡や宗谷海峡を中心として、北日本沿岸海域で発生する地形性強風の事例を示し、その分布、発生要因、また経年変動等をまとめ、洋上風況の理解につなげることを目指す。

例えば、夏季にオホーツク海高気圧が発達し、日本海を低気圧が進んでくる気圧配置の時は、東寄りの地形性強風が各地で発生する。特に、津軽海峡や宗谷海峡では、風速は12m/s以上に達することがあり、夏季の高風速発生の主要因は地形性強風である。地形性強風は、北太平洋の亜寒帯海域から下層(せいぜい高度1000m程度)の冷気が押し寄せる時に発生する。そして、海峡・地峡に沿った東西気圧差が、太平洋/オホーツク海側の下層の冷気量および地形性強風の風速の良い指標となる。また、地形性強風の発生頻度の経年変動が大きく、オホーツク海高気圧が発達する年に平均風速が大きくなる。