JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE18] [JJ] 再生可能エネルギーの効果的な利用に向けた地球科学データの活用

2017年5月22日(月) 09:00 〜 10:30 202 (国際会議場 2F)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、野原 大輔(電力中央研究所)、座長:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

10:00 〜 10:15

[HRE18-05] 再生可能エネルギー大量導入下における需給運用のための確率的気象予測手法

*野原 大輔1大庭 雅道1橋本 篤1門倉 真二1 (1.電力中央研究所)

キーワード:再生可能エネルギー、確率予測、アンサンブル

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは,天候の変化により発電出力が不安定となる性質を持つ.電力は,常に発電と需要をバランスさせる必要があるため,再生可能エネルギーによる発電出力量に直接関係する日射量や風速などを高い精度で予測することが求められている.一方,予測が外れた場合にも需要を満たせるよう,常に火力発電などの制御可能な電源に余裕を持たせた予備力が必要となる.この予備力は,火力発電の不経済運転を生じさせることになるが,確率的な気象予測を活用することで,必要最小限に抑えることが期待できる.
このような背景の元,領域気象モデルWRF(Weather Research and Forecasting)を用いたメソアンサンブル予測手法を開発した.初期値・境界値に気象庁週間アンサンブル予報を利用する.メソアンサンブル予測は,水平解像度15km,予測値の出力間隔30分,コントロールを含む11個のアンサンブルメンバーで75時間先まで予測する.太陽光発電出力予測に利用する日射量予測は,雲の生成や移動といった大気の非線形応答による予測誤差が増大しやすい性質を持つ.メソアンサンブル予測を用いることで,予測した総観場の違いによる日射量予測の不確実性を推定することが可能となった.風力発電では,低気圧や前線の通過の際などに発生する発電出力量の急変化(ランプ現象)が問題となっている.ランプ現象への対応のため,風速の変化の振幅,変化時刻,変化速度などの予測の高精度化が必要とされるが,メソアンサンブル予測を活用することで,ランプ現象の見逃しリスクの低減や,それらの予測の不確実性の評価が可能となった.