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[HSC07-02] 標準貫入試験による液状化判定について
キーワード:標準貫入試験、連続貫入試験、液状化判定、液流動化
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびその最大余震によって地層の液状化・流動化現象(以下液流動化),地波現象が発生した.この地震によって沿岸地域だけでなく内陸部においても盛土・埋土の液流動化が認められた.この震災以降,特に建築ボーリングの現場において標準貫入試験と貫入試験試料を用いた簡易液状化判定が再燃している.また,この震災では液流動化は海岸部で発生するものと思われていたイメージを覆して,内陸部の河川や湖沼跡の盛土・埋土で発生した事から,一般市民レベルにおいて,自分が現在住んでいる土地の地質状況や液流動化の危険度について関心が高まった.現在,国土交通省をはじめ自治体単位でWEB上でのボーリングデータの無償公開をしており,全国津々浦々とまではいかないが,インターネット環境があれば閲覧できるようになっている.また,中央開発株式会社のホームページ上ではボーリング柱状図作成ソフト,断面図作成ソフト,液状化簡易判定ソフトを無償ダウンロードして一般個人レベルで利用可能となっている.2011年4月に実施した液状化・流動化地における連続貫入試験データを用いて,この液状化簡易判定ソフトによる判定結果を連続貫入試験時と標準貫入試験を実施していた場合に分けて判定した.本ソフトは土質に関する定数が,土質に応じて既定値として予め設定されているため,土質試験を行っていなくても計算が可能である点が優れている.2016年の本大会でも指摘した事であるが,N値の観点からでも標準貫入試験を実施していた場合は非常に緩くなった砂層を見逃していた事が分かる.これを液状化判定すると,液状化の有無に関してはどちらのケースにおいてもNG判定がでるが,連続貫入試験の場合の方が数値が大きくなるため,過小評価される事が分かる.ただし,液流動化地におけるN値実施については,非液流動化層に達するまでは自動落下装置は使用すべきではない.これは,自動落下装置の重量が約13.5kgあるためで,適切なN値が得られないからである.今回のケースではNG判定となったが,既存の液状化判定結果について,過小評価している可能性を考える必要性がある.