JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC07] [EJ] 人間環境と災害リスク

2017年5月21日(日) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、松多 信尚(岡山大学大学院教育学研究科)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)

[HSC07-P04] Research of fire effect from the distribution and composition of trees in a small park in Kanazawa City

*鍋島 優裕1 (1.金沢大学)

○はじめに
 関東大震災や阪神淡路大震災では地震火災による被害者が数多くみられた。一方で、緑地では樹林による焼け止まりが見られ、緑地に避難したしたことで生存できたという報告があり、関東大震災以降、樹木による防火効果について多くの研究がなされてきた。近年、地震活動が活発化する中で防災・減災を考える際に都市の公園・緑地は重要になると言える。
そこで、本研究では石川県金沢市の3つの小規模公園を事例にし、地震火災時における公園の樹木による延焼防止について評価し、安全性の向上について提案を行う。

○研究方法
 各公園において、樹種や樹高、分布、公園内の構造物について調査を行った。植物の防火性について既存研究と推定から夏期と冬期に分けて区分を行った。そして、各公園について夏期と冬期の防火力について推計し、公園の防火機能について評価を行った。
 また、非常にシンプルではあるが、延焼シミュレーションを現状と改善案の2つのパターンについて西からの延焼を想定し、公園の安全性について分析を行った。

○結果
 各公園の防火性は、樹木に関しては夏期においてはある程度防火力を発揮すると考えられるが、落葉樹が多くみられることから冬期における防火力が危険となる可能性が高いとされた。また、樹木の数があまり多くないことかた延焼を十分に遮蔽できないとされ、危険性があることが考えられる。既存研究から面積的に危険であることが示唆されている。
 そこで、延焼シミュレーションを見ると、現状ではある程度の安全域を公園内に確保できることが判明した。しかし、避難場所として考えた場合には十分な安全域が確保できず、「危険な避難場所」であると言える。改善案では公園周辺と内部に樹林帯を増やすことで安全域を増やすことが可能となった。

○考察
 各公園は避難場所として十分な安全が確保されているとは言えず、特に冬期には危険となる可能性が示唆された。改善案として緑量の増加や常緑樹への変更が考えられる。しかし、公園としての機能を考えた場合には緑量を増やすには限界がある。そのため、公園の防火機能を向上させていくためには、公園の植栽の改善のほかに、周囲の建築物の不燃化・難燃化といった都市計画と併せて行っていくことが必要である。