JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] [JJ] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

2017年5月23日(火) 13:45 〜 15:15 106 (国際会議場 1F)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、座長:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)

14:15 〜 14:30

[HTT23-15] 森林土壌のカルシウム供給能に対する火山灰の寄与評価 – チャートが分布する栃木県雨巻山地域における渓流水の予備調査–

★招待講演

*越川 昌美1渡邊 未来1高松 武次郎1三浦 真吾2申 基澈3中野 孝教3 (1.独立行政法人国立環境研究所、2.武揚堂、3.総合地球環境学研究所)

キーワード:火山灰、Sr同位体、渓流水、Ca供給源、チャート

日本の森林におけるCa の供給源としては、海塩、母岩、および黄砂の寄与が指摘されてきた。それに加えて、過去の大規模な火山活動により広域に降下した火山灰も、植物や渓流水へのCa供給に大きな影響を与えていると考えられるが、その影響は定量的に評価されてこなかった。我々は既報 (Koshikawa et al., 2016) において、花崗岩が分布する筑波山の渓流水中のSrおよびCaに対する火山灰の寄与解析を試みた。まず、Sr/Cl比を指標として、渓流水中Srのうち大気降下物由来の割合を評価し、次いでSr同位体比を用いて花崗岩と火山灰に由来する割合を評価した。その結果、Sr同位体比は火山灰と母岩風化由来成分を含む複雑な系においても、SrおよびCaの寄与解析に有用であることが確認できた。現在、我々はこの方法を様々な地域に適用することにより、火山灰の持つCa供給機能がどのような地域で重要かを確かめたいと考えている。本研究では、チャートが存在し、かつ赤城山に由来する火山灰が分布する栃木県雨巻山地域において、渓流水中Srの起源解析を試みた結果を報告する。