JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT25] [JJ] 地理情報システムと地図・空間表現

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)

[HTT25-P03] 自転車移動ルートに関する実走行プローブ情報を用いた地理空間分析

*杉田 渓1早川 裕弌1 (1.東京大学)

キーワード:自転車、プローブデータ、GNSS、空間分析

近年,世界中の都市において,都市交通の一つとして自転車の利用を推進する政策がとられ始めている。一方,このような自転車利用推進政策を実行するにあたり,とくに自転車利用環境の向上にむけた自転車道ネットワークの構築は,都市インフラの改変もともなうことから,慎重に進める必要がある。現状では,自転車の通行実績に関する調査においては,起点・終点のみを扱うODデータが用いられることが多い。しかし,実際の自転車移動は最短経路だけでない,様々なルートを取りうるため,自転車を用いた行動の詳細な分析のためには,移動経路を記したデータが必要になる。そこで本研究では,GNSS受信機により記録された移動実績データを道路セグメントごとに集約したプローブデータ(Strava Metro)を利用し,自転車の移動軌跡に関するネットワーク分析を行う。これにより,各都市において自転車の快適な利用を促す自転車道構築ための,議論の根拠となる客観的情報の提供を試みる。
 データが利用可能であったメルボルン(オーストラリア),ニューヨーク(アメリカ),オースティン(アメリカ),シカゴ(アメリカ),パリ(フランス)の5都市を対象とし,自転車のプローブデータに加え,地形環境および土地利用のデータを用いて空間分析を行った。自転車通行実績に関しては,通勤利用,週末利用,および平日と週末における自転車利用比の3点に着目し,都市構造との比較から,都市ごとの自転車利用の特徴,また各都市に共通する特徴が明らかとなった。具体的には,たとえばメルボルンでは,通勤利用者は直線的な道路よりも屈曲した公園に近い道路をより頻繁に利用すること,また週末には郊外の道路利用が高まることが示された。公園や,河川・尾根といった特徴的な地形環境や土地利用における高頻度な自転車利用は他の都市にもみられ,自転車利用が都市環境に強く依存することが明らかとなった。また,既存の都市構造に依存した自転車通行ネットワークの類型化も可能である一方,中心部と縁辺部の利用比率が都市ごとに異なることも示された。こうした知見は,今後の自転車政策を推進するにあたり,最適な経路や接続距離など,既存の都市構造を加味した広域的な自転車道ネットワークの構築に役立てられる。