JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG35] [EJ] 海洋地球インフォマティクス

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 A01 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:坪井 誠司(海洋研究開発機構)、高橋 桂子(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、金尾 政紀(国立極地研究所)、Timothy Keith Ahern(Incorporated Research Institutions for Seismology)、座長:坪井 誠司(海洋研究開発機構)、座長:金尾 政紀(国立極地研究所)

16:15 〜 16:30

[MAG35-10] 大容量化する海洋観測データの長期安定的なアーカイブ基盤の構築

*北山 智暁1岸良 武文2松田 尚子2宮城 伸2石黒 駿1伊禮 一宏1豊村 鉄男1齋藤 秀亮1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.株式会社マリン・ワーク・ジャパン)

キーワード:海洋観測データ、大容量ストレージ、ディザスタリカバリ、高速データ転送、アーカイブ基盤

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の航海・潜航調査で取得される海洋観測データは、新たな観測手法の開発や観測装置の性能向上による多様化・大容量の一途を辿っている。例えば、海底地形を計測することができるマルチビーム測深機(Multi-Beam Echo Sounder, MBES)では、測深間隔を短縮し、直下方向の音響ビームを集約させるなどで、これまで以上に高分解能な海底地形を計測することができ、取得される観測データも大容量化している。JAMSTECが有する海洋観測データは、時空間的に二度と取得できないものであるだけでなく、深海など容易にアクセスできない極めて特殊な環境下で取得された学術的価値の高いものであり、研究・教育などをはじめ社会で広く活用されるためには、将来にわたって損失無く保管する必要がある。そのためには、長期的に安定して海洋観測データを保管するとともに、必要なときに必要なデータを抽出できる大容量ストレージやネットワークなどを総合したアーカイブ基盤が必要である。

JAMSTEC地球情報基盤センター(JAMSTEC/CEIST)は、海洋観測データを保管するストレージの大容量化・多様化と、遠隔の2拠点間でのデータバックアップを行うための拠点間ネットワークの広帯域・高速化を行い、ディザスタリカバリも想定した長期安定的なアーカイブを実現している。ストレージは海洋観測データの大容量化に対応するとともにアクセス性を維持するため、ハードディスクドライブと磁気テープメディアへの格納の両方を用いた運用を可能にしている。さらに磁気テープ格納型のストレージでは、階層型ストレージ管理(Hierarchical storage management, HSM)とLTFS(Linear Tape File System)で多層アーカイブを行うことで、消費電力等の運用コストを削減しながら、データの大容量化・多様化に対応するための運用の柔軟性も確保している。さらに、国立情報学研究所の学術情報ネットワークSINETの更新に合わせ、拠点間接続回線の広帯域化を行うとともに、UDPベースのデータ転送システムを併用することで、大容量のデータを高速に転送できる環境を整備した。

本発表では、海洋地球インフォマティクスを支える海洋観測データのアーカイブ基盤についてその取り組みを紹介する。