JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] [JJ] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2017年5月22日(月) 09:00 〜 10:30 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:村田 健史(情報通信研究機構)、座長:野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)

09:00 〜 09:15

[MGI30-01] 太陽光発電の大量導入に向けたHARPSの試み

★招待講演

*井村 順一1 (1.東京工業大学)

キーワード:太陽光発電、電力系統制御

本発表では,2015 年4 月より5 年間の期間で始まった,JST CREST EMS 領域の研究課題の一つである「太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築(HARPS)」の研究プロジェクトについて,その概要と現況を紹介する.

経済産業省は,「2015年7月には「長期エネルギー需給見通し」において2030年に64GW(日本の全電力量の7%, 瞬間では全電力の約30%)のPV発電導入を目標に掲げ,2016年7月現在では約35GWのPV発電が導入され,ここ数年で目覚ましい勢いでPV発電が増加してきている.そのため,PV発電の予測を用いて安定な電力供給を実現する新しい制御技術の開発が急務になってきている.その一方で,2016年4月より始まった小売り電力の全面自由化,2020年よりスタートする発送電分離による新しい電力供給体制をもとに,情報インフラや家庭用蓄電池技術等の高度化によるバーチャルパワープラント開発やリアルタイム市場などの新しい技術により,需給バランスを達成するシステム全体の枠組みそのものを根本的に見直し,再構築する必要性が生じている.

そこで,本プロジェクトでは,102GWの太陽光発電の導入を可能とし,かつ,330GWの導入までを見据えた次々世代の調和型電力システム安定供給制御技術手法の核となる基盤理論・技術の構築を目指して,太陽光発電予測/需要予測を活用することに加えて,需要側エネルギーマネジメントシステム,協調パワーコンディショナー,デマンドレスポンスアグリゲータ,電力バランシンググループといった様々な様態が想定される中間層の機能や特性を活用することを検討している。具体的には,(i)電力システム設計:系統運用層-中間層-ユーザー層で構成するシステム設計論,(ii)予測技術:安定供給を実現する制御のためのPV発電予測技術,(iii)制御技術:PV発電予測を最大限活用した安定供給制御理論・技術,の3つの基盤理論・技術を構築することを目指す。また、様々な制御手法を統合してシミュレーションすることを可能にする電力コラボレーションルームを構築している。研究参加メンバー,活動実績,セミナーなど詳細な情報は,本プロジェクトのホームページhttp://harps-crest.jpn.org/ や発表者の解説[1]を参照されたい.

[1] 井村順一,太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築に向けて -HARPSによるビッグシステムへの挑戦-,計測と制御,Vol.55, No. 7, pp.566-572 2016 (DOI: http://doi.org/10.11499/sicejl.55.566)