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[MGI30-08] リモートセンシング解析と現地調査データの統合による地熱資源探査の試み
キーワード:地熱資源探査、熱水変質、リモートセンシング、ラドン探査
地熱資源の利用促進のためには低探査コストで貯留層検出の成功率を向上させることが不可欠であり,新たな資源探査技術の開発が求められる。リモートセンシングを用いた広域調査精度の向上は,その解決策のひとつである。地形解析による断裂系分布モデリングや反射・放射スペクトルデータを用いた熱水変質帯の抽出は,広域的な地熱系を推定する有益な情報となる。さらに,現地調査データを組み合わせることで、解析結果の解釈を深め,妥当性を検証することが可能となる。そこで,本研究では地熱有望地域と生産性の高い貯留層の位置を特定し,特にコストが高いボーリング調査の低減を目的として,リモートセンシング解析と表層での地殻ガス調査の組合せを図り,地熱発電所が稼動しているインドネシア西ジャワ州Wayang Windu地域をそのケーススタディに選んだ。リモートセンシング解析として,グリッド間隔30mのデジタル標高モデル(DEM)を用いたリニアメントの抽出と断裂面の分布形態のモデリング,およびASTER画像を用いた変質帯の抽出を行った。また,地殻ガス調査として放射能探査のひとつであり,土壌ガスを用いるラドン測定を実施した。これによるラドン濃度は,断裂系の存在によって大きく変化するため,地熱流体パスの検出に適している。ラドン測定は,地表からの大気ガスの混入を防ぎ,貯留層の温度圧力状態に関連した測定値を得るために,地表から深度5m程度の計測井を設置し,複数回のモニタリングを行っている。これら異なる手法で取得されたデータを組み合わせることで,流体パスの推定精度が向上することが確認でき,さらに地熱系についての解釈も深められた。
なお本研究は,JICA・JSTのSATREPSプロジェクトの一環として実施されたものである。
なお本研究は,JICA・JSTのSATREPSプロジェクトの一環として実施されたものである。