JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] [JJ] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2017年5月22日(月) 10:45 〜 12:15 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:村田 健史(情報通信研究機構)、座長:本田 理恵(高知大学理学部応用理学科)

12:00 〜 12:15

[MGI30-12] HAKUTOプロジェクトにおける月面探査を目指したマイクロローバーの設計と開発状況

*清水 敏郎1吉田 和哉2ウォーカー ジョン1田中 利樹1古友 大輔1ブルツ ルイジェローム1ガスケス オリオール1宮本 清菜1工藤 裕1杉田 祐也1 (1.(株)ispace、2.東北大学)

キーワード:月、月探査、ローバー、HpFP、UDP、TCP/IP

HAKUTOは日本で唯一、国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に参加しているチームであり、ベンチャー企業、東北大学、そしてプロボノメンバーにより構成されるチームとして、2017年末までに月面探査ローバーの開発・打ち上げを目指している。Google Lunar XPRIZEでは、民間出資によって開発されたロボット探査機で、1.ローバーを月面に到達させる、2.月面を500m移動する、3.月面の高画質な写真や動画を地上に送る、という3つのミッションを達成することが各チームに課せられており、これらのミッションを達成するには、月-地球間の高遅延・低帯域・途絶が多発する通信環境下で、安定的・正確に効率的な通信を行い、ローバーを月面の過酷な環境で動作・走行させる必要がある。
 では、不整地走行ロボットや超小型衛星開発などで培われた技術を応用し、Google Lunar XPRIZEミッションを実行することを目的とし、世界最小の月面探査ローバーを開発している。2014年後半にはプリフライトモデル(PFM)を用いて、宇宙機として機能することを証明するために、振動試験、熱真空試験を実施し、ローバーが宇宙環境に耐久性があることを確認した。2014年12月には静岡県浜松市にある中田島砂丘にてフィールドテストを実施し、運用シーケンス、画像を用いた遠隔でのローバー制御テスト、斜度30°の斜面を含む500m以上の区間の連続走行実証実験を行い、2015年1月にはGoogle Lunar XPRIZEにおける中間賞「モビリティサブシステム」部門を受賞した。2016年2月には月-地球間の高遅延環境を克服するために、NICT/クレアリンク社で開発したHpFP(High-performance and Flexible Protocol)を利用した通信実験も行い、現在は打ち上げに向けた最終機(フライトモデル)の設計・開発を進めている。
 発表では、HAKUTOのマイクロローバーについて概要紹介、開発のステータスの説明、通信・データ処理に関する報告を行う。