JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] [JJ] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)

[MGI30-P01] An experiment of high-speed data transfer technique from Syowa via INTELSAT

*Pavarangkoon Praphan1山本 和憲1村田 健史1岡田 雅樹2水原 隆道3高木 文博3 (1.情報通信研究機構、2.国立極地研究所、3.株式会社クレアリンクテクノロジー)

1957年に始まった昭和基地を中心とした南極観測は年を追うごとに観測プロジェクトが増加し、それに伴って観測データ量も増大している。現在、主な観測データとしては、宙空関連では、オーロラ光学観測(画像データ 数10 GB/日)、自然プラズマ波動観測(波形データ 約10GB/日)、PANSYレーダデータ(約100 GB/日)、HFレーダデータ(数10 GB/日)、衛星観測データ(数10 GB/日)、気水圏関連では衛星観測データ (数10 GB/日)、地学関連ではVLBI観測(約40 GB/回×毎年数回)、超伝導重力計(数GB/日)などがある。また、将来計画としてもドーム基地天文台(おそらく数10~100GB/日程度)や次世代VLBI観測(おそらく100GB/日程度)などが予定されている。
1回の南極観測船のみがデータ輸送の機会であったが、リアルタイム性を必要とする観測データや、観測後に速やかにデータ処理を行う必要性などがある。昭和基地では、2004年に7.6mのアンテナを備えたインテルサット通信設備が建設され、山口衛星通信所経由で国立極地研究所に接続された。これにより極地研究所と昭和基地との間は移転るさっと回線により常時接続され、南極からのデータは昭和基地内高速LANを通して衛星回線に送られる。これにより南極観測データはリアルタイムで日本国内に伝送できるようになった。
3Mbpsであり、この限られた帯域を100%活用することが求められている。
IPネットワークによるデータ伝送が行われているが、衛星回線を用いる長距離データ伝送の問題点の一つは遅延である。一般的には、FTPやHTTPなどのTCPベースの通信プロトコルが用いられるが、TCPは遅延に弱くインテルサット回線では十分な性能を発揮できない。そのため、極地研究所では昭和基地と極地研究所を結ぶインテルサット回線の両端にWAN高速装置であるSteelHead(riberbed社)を設置している。SteelHeadは送受信双方においてTCP通信に介入し、独自の伝送方式により送受信間のデータ通信を高速化するインターセプト型のWAN高速化システムである。これによりTCPプロトコルを高速化し、南極観測データを効率的に日本に伝送している。このインテルサット回線は複数の南極観測計画で共有されており、各プロジェクトがそれぞれのサーバから独立してデータ伝送を行っている。そのため、衛星通信帯域のQoS制御が必要となる。SteelHeadはデータコネクションごとに転送の優先度(プライオリティー)付けを行い、高いプライオリティーデータを他のデータに対して優先的に送信するQoS制御を行っている。
TCPの帯域制御がある。TCPはベストエフォート型の通信プロトコルであるため、コネクションごとに自律的に帯域を決定することができない。その結果、各プロジェクトのデータ伝送アプリケーションはそれぞれのコネクションにおいてベストエフォートでデータを伝送することとなる。一方、SteelHeadはQoSポリシに従ってそれぞれのコネクションに帯域の上限と下限を与えることはできるが、動的に帯域を制御することはできない。これはSteelHeadの仕様であるが、同時に遅延(RTT:round trip time)が500msとインターネット等と比較しても大きい静止衛星回線においては帯域制御が容易ではないという本質的な問題でもある。その結果、昭和基地と極地研究所を結ぶインテルサット回線ではSteelHeadのQoS制御に関わらず、3Mbpsの帯域に対して合計でワイヤーレートでの通信が達成できない時間帯が頻繁に生じている。
UDPベースの通信プロトコルHpFP(High-performance and Flexible Protocol)を用いてQoS問題の解決を試みる。HpFPは独自の通信回線パラメータモニタリングにより、時々刻々変化するネットワークに対して、その都度最適なパケット送信を行う機能を有している。室内実験において、HpFPは昭和基地と極地研究所間において、3 Mbps以下の動的に変動するの設定帯域に対しての追随性能について評価し、他のトラフィック変動に対して自らの目標帯域を空き帯域に合わせることで総合的なデータ通信効率を向上させることを目指す。