JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] [JJ] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)

[MGI30-P07] 赤色立体地図による広域高密度地形データ表現法の検討

*千葉 達朗1 (1.アジア航測株式会社)

キーワード:赤色立体地図、DEM、可視化

1.はじめに
 航空レーザ計測技術の進展により、短時間に樹木の影響を排除した精密なDEMデータが得られるようになってきた。現在までに、国内の50%以上の範囲の計測が行われている。その一方で、データが精密でありすぎるために、従来の地形表現手法では、野外調査で使用しやすい適切な縮尺で表現することが難しいことも大きな課題となった。赤色立体地図は このレーザ計測による非常に複雑で精密な地形データを可視化するための手法として2002年に私が開発した(千葉ほか、2006など)。ここでは、赤色立体地図の原理とレーザ計測データ以外の大量データへの適用についての最近の成果を報告する。

2.赤色立体地図
 DEMから計算により直接画像を作成する手法には、陰影図や斜度図、高度段彩図等があるが、どれも一長一短があり、1枚で表現することは難しく、回転させると立体感が反転するという問題があった。赤色立体地図は、それらの問題を解決するために作成された手法である。作成方法は、DEMから傾斜と地下開度と地上開度を求め、傾斜を赤色の彩度に比例させた画像と、地上開度と地下開度からもとめた尾根谷度を明度に比例させた画像を乗算合成させて作成する。この画像は、錯覚により、オルソのままで、なんとなく立体的に感じられることから、小縮尺の図に多くの情報を入れ込むことが可能であった。レーザ計測のデータの可視化に使用したものは、密林地帯での現地調査に非常に有効であった。開発のきっかけとなったのは、富士山の青木ヶ原樹海であったが、その後、各地の火山だけでなく、地すべり調査や、活断層調査にも使用されてきた。

3.適用範囲の拡大
 その後、メッシュサイズがさらに大きなデータに適用することにより、より広範囲の地形をわかりやすく表現できることも可能であることがわかった。これまでに日本国内の10mメッシュデータや、地球全体の4kmメッシュデータに適用し、地形の理解に役立つと評価されてきた。また、この表現手法は、一組のYXの値につきひとつのZ値をもつデータであれば、適用可能である。そこで、画像、重力異常、レーザ顕微鏡による0.1ミクロンメッシュの起伏データや、火星や月のデータについて、適用を試みてきた。本ポスターでは、そのデータごとの目的に合わせたな、新たな表現の工夫について紹介する。

4.干渉色カラーパレット
 赤色立体地図は、高度情報や傾斜方位の情報が読み取れないと言う問題がある。その解決のためには、等高線図を重ねたり、弱い陰影を重ねることが行われてきたが、わかりにくいものであった。最近、DEMデータからレタデーションカラーパレットを使用して、干渉色縞をつけることによってこの問題に対するアプローチを試みているので紹介する。