JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] [JJ] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)

[MGI30-P09] ベトナムの地質情報を用いた3次元地質モデリング

*米澤 剛1野々垣 進2ツォン スアン ルアン3升本 眞二1三田村 宗樹1 (1.大阪市立大学、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所、3.ハノイ鉱山地質大学)

キーワード:DEM、ボーリングデータ、論理モデル、3次元地質モデル、ベトナム

これまでハノイ鉱山地質大学との共同で3次地質モデリングシステム構築に向けたベトナムのハノイ市を中心とする地形や地質に関連した基盤データを収集してきた(Yonezawa et al, 2013).ベトナムのハノイ市は紅河デルタ,第四紀堆積物の上に位置した都市である.現時点で収集したデータは,ボーリングデータ約160点,標高測量データ約24,000点,都市計画地図(2,000分の1)約50枚である.収集された地形データやボーリングデータは,Web上で処理できる升本ほか(2011)の3次元地質モデリングシステム等を利用することで日本とベトナム間で情報を共有できるだけでなく,両者がそれぞれデータの編集から可視化までをおこなうことができる.
 収集したボーリングデータは,30の岩石・土に区分することができた.岩相区分をおこなったデータから春山(2004)が提示した紅河デルタの地質構造モデルと比較し,岩相対比をおこなった.この結果,対象地域を上位から5つの地層に区分した.対比結果にもとづいて層序に対応したボーリング地点データを整理し,論理的な整合性(地質構造の論理モデル)を確認した.地形については,標高測量データからハノイ市の中心部(8km×8km)の地形面のDEMを野々垣ほか(2008)にもとづいて作成した.また,地形面のDEMと同じ範囲の4つの地質境界面のDEMをホーリングデータにもとづいて作成した.地質構造の論理モデルと地形面・地質境界面のDEMを用いて,今回はGRASS GISを利用して3次元地質モデルを構築し,GRASS GISの可視化ツールであるNVIZを利用して可視化した.
 本研究で扱うデータは,とくに都市がかかえる多種多様な問題を解決するために必要な基盤データになりうるものと考える.地形と地下の地質情報を無理なく統合することができる3次元地質モデルは都市空間を可視化するための有効な手法であると考える.さらにWeb- GIS上で可視化できるシステムを構築することができればベトナムにおける利用の用途は拡大し,他の東南アジア地域における都市研究にも応用できると考える.今後は構築した3次元地質モデルを基盤にし、さまざまな都市情報や応用事例をあてはめたうえで、都市問題解決のための分析・検証をおこなう必要がある.