JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS06] [EE] アジア・モンスーンの進化と変動、新生代寒冷化との関係

2017年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:多田 隆治(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、Christian Betzler(University of Hamburg)、Peter Dominic Clift(Louisiana State University)

[MIS06-P15] Spatial property of heavy precipitaion and flood history during the Late Holocene in central Japan and correlation with climate change in surrounding region

*鈴木 克明1多田 隆治1入野 智久2山田 和芳3長島 佳菜4中川 毅5原口 強6五反田 克也7SG12/06 プロジェクトメンバー (1.東京大学、2.北海道大学、3.静岡県ふじのくに地球環境史ミュージアム、4.JAMSTEC、5.立命館大学、6.大阪市立大学、7.千葉商科大学)

キーワード:Lake Suigetsu, varved sediment, flood, Holocene

日本を含む東アジア地域はモンスーンや台風などの影響下にあり、強雨やそれに伴う洪水の多発する地域である。観測記録の解析やモデル研究から、強雨の発生が水蒸気発生源での海水温上昇に影響を受けている可能性が示唆されている。また、台風の規模、経路、発生数には経年変化が存在しており、これらの変動要因としては発生源である低緯度地域の気候や偏西風経路などの大気循環に影響を受けている可能性がある。長期スケールにおいて、これらのうちどのようなメカニズムが強雨・洪水の発生を支配しているかどうか明らかにするためには、気候境界条件が現在と同じ完新世後期において、強雨・洪水記録と周辺地域の古気候記録との関係を検討する必要がある。しかし、一般的な雨量記録媒体(花粉、鍾乳石など)から得られる雨量変動記録は年スケールの期間の平均値であり、短期的な現象である強雨・洪水の記録としては不充分だった。そこで本研究では、洪水などの突発的な現象の結果として堆積物中に保存される「イベント層」および、強雨に伴って河川から流入する砕屑物フラックス変動に着目して、完新世における強雨・洪水史の定量復元を試みた。そのために、福井県水月湖堆積物の表層堆積物を用いて、これらの堆積物に含まれている河川起源砕屑物フラックスの復元および観測記録との対比を行った。その結果、以下のような強雨・洪水プロキシを確立した。
1)河川起源細粒砕屑物フラックスは、50mm/day以上の強雨頻度を反映する。
2)洪水により、細粒砕屑物から構成される明灰色イベント層が堆積する。その厚さは洪水時の総雨量を反映する。
本発表では、これらの結果を応用して過去7000年について得られた強雨・洪水記録を周辺地域で得られている降水量変動や洪水記録と比較し、さらに周辺地域の降雨制御要因との関係を議論する予定である。
関連して、観測と堆積物の比較による強雨・洪水プロキシ開発の詳細についてH-SC07セッションで、本研究で得られた災害復元記録における洪水・地震の区別やローカルな堆積環境変動との比較をM-IS23セッションで発表する。