JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS09] [EJ] 津波堆積物

2017年5月23日(火) 09:00 〜 10:30 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:篠崎 鉄哉(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、千葉 崇(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)、石村 大輔(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理学教室)、後藤 和久(東北大学災害科学国際研究所)、座長:篠崎 鉄哉(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)

09:15 〜 09:30

[MIS09-02] 津波堆積物の高精度かつ効率的な放射性炭素年代推定法の提案

*石澤 尭史1後藤 和久2横山 祐典3宮入 陽介3沢田 近子3 (1.東北大学大学院理学研究科地学専攻、2.東北大学災害科学国際研究所、3.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:津波堆積物、放射性炭素年代測定

津波堆積物の堆積年代を推定することで,古津波の発生間隔を推定することができる.また,広域に分布する津波堆積物の年代対比結果は古津波の規模を推定する際の根拠となる.このように津波堆積物の堆積年代から,古津波の規模やその発生間隔など津波ハザード評価に関わる多くの情報を推定することができる.津波堆積物の堆積年代は主に放射性炭素(14C)年代測定から推定されている.この手法は汎用性の高さが利点であるが,年代測定結果から推定される暦年代が較正曲線の形状に強く影響されるという問題点もある.そのため較正曲線が揺らいでいる時代においては,14C年代に対応する暦年代が複数存在し,暦年代を精度良く推定できない.

このように14C年代測定の精度が悪い時代においても高精度で暦年代の推定を行うため,連続的に測定した年代測定結果を較正曲線と対応させるウィグルマッチング法や,暦年較正の際に層序関係などの情報も取り入れて暦年代をベイズ推定する手法が活用されている.しかし,これらの手法では14C年代を連続的に多点数測定する必要があり,測定コストが増加する.津波堆積物研究においては,古津波の規模やその発生間隔推定のため,津波堆積物の分布を広域で調査し,それぞれの地点において津波堆積物の年代を高精度で推定する必要がある.そのため精度は確保したうえで1地点あたりの年代測定個数を必要最低数とすることで費用対効果を最大限にすることが重要である.

そこで本研究では14C年代測定を用いて効率的かつ高精度で津波堆積物の堆積年代を推定する手法について検討する.具体的には,較正曲線の形状を考慮することで,高精度で年代推定を行うために試料を採取すべき層準や必要な測定個数,分析の優先順位の設定法について議論する.この手法を用いることで最小限の測定個数で高精度での年代推定を行うことが可能であり,津波ハザード評価への貢献が期待できる.