JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] [EJ] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大島 慶一郎(北海道大学低温科学研究所)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

[MIS10-P03] Paleo-environmental changes at coastal lakes along the Soya Coast, East Antarctica during the Holocene

*姜 怡辰1鹿島 薫2瀬戸 浩二3谷 幸則4渡邊 隆広5中村 俊夫6伊村 智7井上 源喜8 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、3.島根大学汽水域研究センター、4.静岡県立大学環境科学研究所、5.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、6.名古屋大学年代測定総合研究センター、7.国立極地研究所、8.大妻女子大学社会情報学部)

キーワード:Antarctica, Paleoenvironment, Lake sediment, Diatom assemblage

南極氷床は地球上で最も大きい氷床であり、世界の氷河の90 %を南極氷床が占めている。このように莫大な氷に覆われている南極大陸は地球全体の気候に重要な働きをしているとともに、地球全体の変化が顕著に反映される場所でもある。東南極の宗谷海岸には南極氷床の後退により形成された数多い湖沼が分布している。本研究では東南極宗谷海岸の沿岸湖沼から採集した湖底堆積物から産出する珪藻化石の群集変化を時系列で復元することを通して、湖沼の水環境の変動を復元することを目標としている。
堆積相の特徴,クロロフィル化合物やカロチノイドの分析結果、藻類やシアノバクテリアの観察結果ならびに珪藻分析の結果から,親子池(コア名:Ok4C-01)のコアの年代は304 - 2,187 cal yr BPであり、沿岸海の環境から湖沼と変遷した時期は約1100 cal yr BP (core depth 60 cm)であった。丸湾大池(コア名:Mw4C-01)・丸湾南池(コア名:MwS4C-01)のコアの年代は、それぞれ2,220 - 5,630 cal yr BP と1,260 – 4,840 cal yr BPであり、沿岸海の環境から湖沼と変遷した時期は丸湾大池で2800 cal yr BP (core depth 22 cm)、丸湾南池で2400 cal yr BP (core depth 65 cm)であった。珪藻の群集変化に基づいた結果は他の分析結果とも整合性のある結果であった。
珪藻の群集変化によって海洋から淡水への変遷だけではなく、海氷 (Fragilariopsis curta, F. cylindrus)や湖沼の低塩化(Psammothidium papilio)と貧栄養化のような詳しい環境復元ができた。