JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] [EJ] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大島 慶一郎(北海道大学低温科学研究所)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

[MIS10-P13] 南大洋上における大気・海洋変動の時空間特性

*八木 雅文1轡田 邦夫2永延 幹男3 (1.東海大学大学院地球環境科学研究科、2.東海大学海洋学部海洋地球科学科、3.国際水産資源所)

キーワード:偏西風、DPOI、大気海洋相互作用

南半球における大気循環場の変動特性として代表的な南半球環状モード(Southern Annular Mode:SAM) (Thompson and Wallace, 2000)では,中緯度域と高緯度域の気圧偏差の変化に伴う偏西風の強弱で特徴付けられる。特にドレーク海峡付近では間断なく吹いており、そこでの変動は南大洋域における大気-海洋変動を知る上でのキー海域と言える。先行研究では、ドレーク海峡付近における生態系変動と同海峡を横切る偏西風強弱の指数であるDPOI(Drake Passage Oscillation Index)に密接な関係があることが示された(Naganobu et al., 1999,2008)。また、DPOIが関連する海上風の経年変動として南大洋上で緯度方向に構造を有する第二の変動場が検出された(Yagi et al., 2017)。しかしながら、DPOIに関連する海上風変動が海洋に及ぼす影響は未解明である。本研究では,南大洋上における海面水温変動と海上風変動が如何なる関係を有するのかを調査する。
月平均の東西風のEOF解析から導出した第1モードは,寄与率が55.5%で海上風変動の半分以上に寄与し,ドレーク海峡で振幅が最大である。この時係数は、AAOIと0.47、DPOIと0.94の相関をもち、DPOIに関係する変動が最も支配的であることが明らかになった。この時係数のスペクトルには、12ヶ月および24ヶ月に加えて、30ヶ月の周期帯でエネルギーが高いので、3年付近の周期帯における変動に注目する。DPOIに関連する海上風変動と南大洋上における海面水温変動との関係を明らかにするために,約3年の周期帯を抽出するバンドパスフィルターを施した東西風EOF第1モードの時係数と海面水温偏差との同時相関分布図を作成した。その結果,南大洋全域で正と負の高い相関がみられ、ドレーク海峡西方(南太平洋側)で負の相関,東方(南大西洋側)で正の相関を示すとともに、ロス海北部とウェッデル海に極大がみられることから、両海域における海上風速および海面水温の関係性をより詳細に調査していく必要がある。