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[MIS11-02] 気相から固相への多段階核生成の分子動力学シミュレーション
キーワード:結晶化、分子動力学計算、核生成
核生成過程は、理工学の幅広い分野で重要なプロセスであるが、分子レベルでの理解は未だ限られている。これまで我々は気相からの核生成過程の分子動力学(MD)シミュレーションを行い、相変化の様子を調べてきた[1,2]. MD計算では3重点以下のさまざまな温度下で計算しても、凝縮核は液相であることを示していた. このような現象はオストワルドの段階則として考えられ、初めに生成した過冷却液滴の凝縮核は、ある段階で安定相である結晶になることが期待される.我々は最大1500万の希ガス(Lennard-Jones分子)を用い,3重点以下の温度で気相から液相への核生成および液滴からの結晶化という多段階核生成過程のMD計算を行った。粒子数、体積、エネルギー(NVE)一定の系で,凝縮核が結晶化するには長い待ち時間が必要なため, 数億ステップ(実時間で数μs)の計算を行った. 計算には並列計算用の分子動力学計算コード(LAMMPS)を用い、国内外の並列計算機(チューリッヒ大、国立天文台)を利用した。MD計算の結果、気相分子から準安定相である過冷却液滴が多数生成し、その後に過冷却液滴内の一部分から核生成が始まり短時間で結晶核が広がり全体が結晶化する様子が得られた。液滴の結晶化はすぐには起きず、ある程度大きく成長してから起きること、生成されたナノ結晶は5回対称性を持つ正20面体、十面体の準結晶, 面心立方格子(fcc)に富む結晶,六方最密重点構造(hcp)に富む結晶が混在していること、また結晶化する際には蒸発を伴うことなどが明らかになった。
[1] K. K. Tanaka, . H. Tanaka, T. Yamamoto & K. Kawamura, J. Chem. Phys. 134, 204313, 2011
[2] J. Diemand, R. Angelil, K. K. Tanaka & H. Tanaka, J. Chem. Phys. 139, 074309, 2013
[1] K. K. Tanaka, . H. Tanaka, T. Yamamoto & K. Kawamura, J. Chem. Phys. 134, 204313, 2011
[2] J. Diemand, R. Angelil, K. K. Tanaka & H. Tanaka, J. Chem. Phys. 139, 074309, 2013