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[MIS12-02] 地震電磁気現象の素過程ー岩石破壊と深層ガスの相互作用ー
キーワード:地震電磁気、岩石破壊、エキソ電子
地震に伴う電磁気現象の素過程に関して諸説あるなかで、筆者らは岩石が破壊した直後のクラック新生面から放出される荷電粒子とそこに侵入するガスの帯電をソース・メカニズムと考え研究を進めてきた(Enomoto & Hashimoto, Nature 1990)。岩石破壊のラボ実験で得られた電流量とサンプル岩石の破壊面/ガス相互作用面積との関係をもとに実際のフィールドでの震源核破壊面積に対応する電流量を推定した。そしてビオ・サバール則に基づいてその電流が誘導する磁場の計算値と観測値との比較を行ってモデルの検証を行った。こうして得られた結果は、1965-1967松代群発地震でRikitakeらのグループが観測した地磁気の変動(Yamazaki & Rikitake, BERI 1970)をうまく説明することができた(Enomoto et al, Sci. Rep, in press).松代群発地震は2-5kmの浅いところで起きた地震だったので岩石破壊実験も室温で行ったが、次の検証の事例として選んだ2011東北沖地震の震源核温度は約165℃、深部流体の温度は200℃と推定されている。そこで岩石(斑レイ岩)破壊面に200℃に加熱した炭酸ガスを導入する実験を進めている。それと同時に岩石を真空中で加熱したときに放射される荷電粒子を微小電流計で測定し、その温度特性を調べている。室温での破壊実験では岩石に導入されるクラックの先端部のみが加熱をうけて荷電粒子放射が起きるため、ガス帯電電流も短時間(代表例で2msec)の電流ピークが見られたが、高温になると破壊新生面だけでなくガス温度での破壊面の加熱の影響を受けガス帯電電流の継続時間が長くなった。