JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 コンベンションホールB (国際会議場 2F)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)、座長:鈴木 啓助(信州大学)

16:00 〜 16:15

[MIS13-03] 乗鞍岳東斜面における降雨および融雪に対する地表流の応答

*清水 啓紀1佐々木 明彦2鈴木 啓助2 (1.信州大学理学部学部生、2.信州大学理学部)

キーワード:先行降雨指数、雪渓、地下水

乗鞍岳東斜面の谷頭小流域において,2016年6月22日から2016年10月13日にわたり,地表流,雪渓融雪水の調査および気象観測を行った.

 10分間降水量から算出した先行降雨指数を用いることで,融雪期後期に集水域からの地表流の流出が最も多い流出口付近での,地表流発生ポテンシャルの定量的な評価を行うことができた.

 乗鞍大雪渓からの融雪水は,直接的に地表流として流下するのではなく,一度伏流したのち数10m下方で地表面に湧水として現れる.この湧水は雪渓の化学成分に比べ,土壌や岩石が起源とされるHCO₃⁻濃度が高いことがわかった.伏流し地表に現れるまでの過程で,土壌および岩石から化学的風化作用によるイオン溶出を受けたものと考えられる.さらに,集水域からの地表流出経路5地点のうち1地点からも,水質的に地下水の寄与が大きいと考えられる地表流が,無降水期間中にも連続的に観測された.従って,雪渓の融雪水を介して,地下水成分が下流へと安定して供給されていることを示唆する.

 降雨イベントにより,地表流のpH,電気伝導度,HCO₃⁻濃度の一時的な上昇と直後の大幅な低下,その後の緩やかな回復が観測された.これは,降雨直後の降雨の地下浸透に伴う地下水の押し出し流形成と,降水による希釈作用が要因と考えられる.