JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 301B (国際会議場 3F)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)、座長:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

09:45 〜 10:00

[MIS13-10] 立山地獄谷における積雪の化学組成と火山ガス成分による植生被害への影響把握

*田代 裕慶1張 勁2和田 直也3佐澤 和人2遠山 和大4 (1.富山大学大学院理工学教育部、2.富山大学大学院理工学研究部、3.富山大学研究推進機構極東地域研究センター、4.富山大学総合情報基盤センター)

キーワード:火山ガス、降雪・積雪、植生、立山・地獄谷

東北地方太平洋沖地震以降,立山・地獄谷において火山活動が活発化し,火山ガスに含まれるHClやSO2が増加している。しかし,火山ガスの観測は夏期に限定されており、冬期は観測が行われていない。冬期の火山ガス成分は積雪に取り込まれるため,本研究では,冬期火山活動の推測と,積雪に取り込まれた火山ガス成分が植物体に与える影響を把握することを目的とした。
2013~2016年に複数の地点で積雪断面より採取した積雪の主要化学成分と同位体比の分析結果、及び2016年は高山植物の葉に付着した成分を溶出させ、主要化学成分を測定した結果から以下のことが明らかになった。
1 ) 積雪のd値から降雪時期を推定し,積雪中の火山ガス成分と火山活動に伴う立山の山体標高の変化を比較することで,冬期火山活動の観測に活用することができた。
2 ) 噴気孔周辺において,3年間の積雪中のpHは2.85~4.93であり,噴気孔に近いほど積雪が酸性化していた。2013年及び2014年は,nss-Clの[H+]への寄与が約9割を占めていたことから、積雪の酸性化には火山ガス由来と考えられるnss-Clが強く寄与していることが考えられる。一方,2015年は積雪中のnss-Clの鉛直分布や酸性化への寄与の低下から,融雪による成分の溶出が起きたと考えられた。nss-SO42は3年間を通して3.1~5.0%であり,融雪時の鉛直分布においても各層を比較した結果,差は小さかった。積雪表面の[SO42]と[Cl]を比較した結果,SO42がClよりも高濃度であったことからClは融雪に伴い急激に溶出しやすく,SO42は徐々に溶出すると推測された。
3 ) 植物体に沈着した成分の測定結果からも, nss-Clはnss-SO42より溶出しやすいことが明らかとなり,沈着量も多いことからnss-Clが強い酸性化をもたらしている事が示唆された。