JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 301B (国際会議場 3F)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)、座長:奈良間 千之(新潟大学)

11:15 〜 11:30

[MIS13-15] 北アルプス・白馬大雪渓における落石分布と地形変化

*畠 瞳美1奈良間 千之2森 義孝1福井 幸太郎3 (1.新潟大学大学院自然科学研究科、2.新潟大学理学科、3.立山カルデラ砂防博物館)

キーワード:落石、白馬大雪渓、地形変化、アイスレーダー、UAV

北アルプス北東部に位置する白馬大雪渓は日本三大雪渓の一つで,夏季には毎年1万人以上の登山者が通過する日本屈指の登山ルートである.白馬大雪渓上では岩壁の落石や崩落で生産される岩屑により毎年のように登山事故が起こっている.2005年8月に杓子岳北面の岩壁で崩落が生じ, 2名の死傷者がでた.2008年8月には大雪渓の左岸斜面で崩落が発生し,登山者2名が犠牲になっている(苅谷ほか,2008).また,白馬大雪渓での落石事故は,1992~2013年で起きた滑落事故を除く登山事故件数が日本の山地で最多である.本研究では,落石・崩落の実態や大雪渓周辺の地形変化を明らかにすることを目的として,2014~2016年に現地調査を実施した.2014年の7月~8月に設置したインターバルカメラの撮像結果より,この時期に岩壁から生産された礫の雪渓への侵入はわずかであり,雪渓上に無数に点在する礫の多くは雪渓内部から融出したものであった.2015年は例年より積雪が多く,前年融解末期の雪渓表面まで融解が達しなかったため,雪渓内部から融出した礫はほとんどなかった.UAVの空撮画像を用いて作成した50 cm解像度DEMから得られた表面傾斜角をみると,大雪渓本流では緩傾斜地と急傾斜地が交互に存在し,インターバル撮像から急傾斜地で礫の再転動・再滑動が多く確認された.複数年の航空レーザーデータDEMの差分から侵食域を抽出したところ,地質による侵食様式に違いがみられた.また,GPR探査とクレバスの分布により,大雪渓底部の水路と巨大なトンネルの位置が明らかになった.