JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 301B (国際会議場 3F)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)、座長:奈良間 千之(新潟大学)

11:45 〜 12:00

[MIS13-17] 日本アルプスの地すべり性凹地を埋積する第四紀有機質堆積物の古環境・古生態学的研究への応用

*苅谷 愛彦1高岡 貞夫1 (1.専修大学文学部環境地理学科)

キーワード:岩盤重力変形、地すべり、第四紀学、高山・亜高山帯

日本の高山帯・亜高山帯における更新世・完新世の古環境は、必ずしも十分に解明されていない。日本の山岳における侵食速度は世界的にみても速く、古環境復元に欠かせない微化石や大型植物遺体、火山灰層(鍵層)を含む堆積物が侵食されやすいためである。このような状況下において、尾根や谷壁に生じた地すべり性の閉塞・半閉塞的凹地は、古環境を適切に復元するための有効な場を提供すると考えられる。このような凹地は微化石や大型植物遺体、火山灰層を含む有機質堆積物に充填されることがあり、有機質堆積物の放射性炭素年代測定も可能だからである。大起伏な地形条件、多雨多雪な気候条件、地震・火山活動の高い活動性、および速い隆起速度などの条件を具えた日本の山岳では、このような地すべり性の凹地が各地に発達する。
本発表では、地すべり性凹地の形態や分布、発達過程について、特に日本アルプスにおける事例(朝日岳、白馬岳、栂池、烏帽子岳、高天原、上高地など)を中心に報告する。有機質堆積物の地質や年代にかかわるデータも示す。また人力可搬機器を用いた掘削法についても紹介する予定である。以上より、日本の高山帯・亜高山帯における総合的環境変動研究のために、地すべり性凹地の有機質堆積物がもつ有効性・発展性を議論し、情報を共有したい。