JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)

[MIS13-P06] 差分干渉SAR解析を用いた中央アジア・天山山脈北部地域における山岳永久凍土の空間分布

*高玉 秀之1奈良間 千之2山之口 勤3田殿 武雄4 (1.新潟大学大学院自然科学研究科、2.新潟大学理学部理学科、3.リモート・センシング技術センター、4.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:山岳永久凍土、岩石氷河、差分干渉SAR、UAV、天山山脈

半乾燥地域に位置する天山山脈北部地域において,山岳氷河と山岳永久凍土は,山麓に分布する都市や灌漑農地へ夏季に真水を供給する重要な水資源であり,氷河や永久凍土の現状把握は重要な課題である(Sorg et al., 2012).山岳氷河は,その変動に関する研究が多くある一方,山岳永久凍土の研究報告はイリ山脈に限定されており(Marchenko et al., 2007),研究手法の不明瞭さからその分布は正確に把握されていない.シベリア高気圧や地形の影響を受ける天山山脈北部地域の年降水量と降水の季節変化は,地域によって大きく異なっており,天山山脈北部地域の山岳永久凍土の空間分布の地域的な違いはよくわかっていない.そこで本研究では,天山山脈北部地域の東部に位置する年降水量の異なるイシク・クル湖周辺の3つの山脈(イリ山脈,クンゴイ山脈,テスケイ山脈)を対象に,ALOS-2/PALSAR-2を用いた差分干渉SAR解析による,正確な山岳永久凍土の空間分布の把握を試みた.
各山脈の地表面変動をもつ岩石氷河の下限高度を求めた結果,年降水量の多いイリ山脈では主稜線より北側で2600m,南側で3000m,クンゴイ山脈では北側で2600m,南側で2900m,年降水量の少ないテスケイ山脈では北側で2900m,南側で3100mであった.また,各山脈の氷河起源型と崖錐起源型の割合をみると,イリ山脈とテスケイ山脈では氷河起源型が約8割を占め,クンゴイ山脈では約6割を占めた.差分干渉SAR解析結果から大きい地表面変動がみられたクンゴイ山脈のチョン・アクス谷の巨大な岩石氷河上で現地調査をおこなった.UAVによる空撮から,横断に走る畝溝のしわ状の微地形に加えて,斜度がきつい場所では伸張方向に平行に走る無数の畝溝を確認した.