JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] [JJ] ジオパーク

2017年5月21日(日) 09:00 〜 10:30 A01 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:藁谷 哲也(日本大学大学院理工学研究科)、平松 良浩(金沢大学理工研究域自然システム学系)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、座長:藁谷 哲也(日本大学大学院 理工学研究科)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院)

09:15 〜 09:30

[MIS14-02] 白山の火山防災に関連する特別授業:白峰小学校での取り組み

*日比野 剛1平松 良浩2酒寄 淳史2青木 賢人2 (1.白山手取川ジオパーク推進協議会、2.金沢大学)

キーワード:火山防災、火山実験、教育、フィールド学習、ジオパーク

2014年の御嶽山噴火以降、火山防災への関心が高まっている。長期的な観点で火山防災を進めていくためには、火山噴火の危険性やその対策を訴えるだけでは不十分であり、それと同時に火山に対する科学的な理解や関心をもつ人材を育成することが必要である。
 白山手取川ジオパークでは、文部科学省による地域防災対策支援研究プロジェクト「臨床環境学の手法を応用した火山防災における課題解決の開発」(代表:名古屋大学山岡耕春教授)の一環として、白山市立白峰小学校(全校児童数33名)の協力により2016年5月から8月にかけて火山の科学と防災に関する4回の授業と1回のフィールド学習を行った。
 授業では講義や実験などを通じて、白山の成り立ちや火山活動の特徴、噴火のしくみ、白山火山防災計画における噴石、火砕流、融雪型火山泥流の到達範囲、防災行動について学習を行った。フィールド学習では、河原の石や尾根沿いの溶岩流の痕跡の観察を行い、授業で扱った白山の形成史や過去の火山活動の振り返りを実施した。また、国土交通省や気象庁の協力を得て、砂防工事現場や気象観測施設を見学し、火山災害に対する現地対応や防災情報が出される仕組みへの理解を深めた。
自然災害についての学習において、災いばかりを強調するのではなく、現象の理科的なプロセスの理解や、その恵みについても合わせて学習することは、ジオパークの取組みにおける特徴でもあり、正しく理解を進めるための助けにもなっていると考えられる。
 また、小学校内の学習発表の場において、観覧した保護者に対し火山学習授業に関するアンケートを行ったところ、約6割の家庭で学習内容に関して話題となっていたことがわかった。小学校における授業が、児童の学習のみにとどまらず、保護者への波及効果につながることも確認できた。
 本発表では上記の取り組みについて報告する。