JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] [JJ] ジオパーク

2017年5月21日(日) 09:00 〜 10:30 A01 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:藁谷 哲也(日本大学大学院理工学研究科)、平松 良浩(金沢大学理工研究域自然システム学系)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、座長:藁谷 哲也(日本大学大学院 理工学研究科)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院)

09:30 〜 09:45

[MIS14-03] 室戸ユネスコ世界ジオパークにおける住民参加型の河川・森林環境調査システム構築

*中村 有吾1 (1.室戸ジオパーク推進協議会)

キーワード:河川の水質、河川堆積物、森林環境、簡素な手法

室戸ユネスコ世界ジオパークでは、自然遺産の保護・活用など、地域住民と共に多様な活動を展開してきた。森林荒廃が河川に及ぼす影響についても、地域住民から憂慮の声があがっている。本プロジェクトでは、河川水質を継続的に調査するとともに、河川に影響する地形や植生などの環境因子調査を進め、地域住民とともに河川環境についての理解を深める。とくに、透視度測定などの簡便な方法や、水生昆虫の生息調査など地域住民が参加しやすい調査手法を用いて、地域住民が主体的に参加できる調査体制を構築する。また、河川の水質に影響する環境因子を特定することで、環境保全に貢献することを目的とする。本研究を行う高知県室戸市は、2008年に日本ジオパーク、2011年に世界ジオパークに認定され、地域住民と共に多様なジオパーク活動を展開してきた。
本研究は(1)河川透視度調査、(2)生物学的方法による河川水の評価、(3)地図資料による流域環境評価を主要な柱とする。河川水の濁度・浮遊土砂量は、透視度で評価する。透視度の測定は、手順が簡単で精度も高いので、地域住民を中心に継続調査する上で有効である。この方法によって、2016年9月の台風接近に伴う降水量・河川水位の変化と、透視度の変化を時系列に沿って確認できた。また、地域住民や小学校児童の協力により、水質示標となる水生昆虫(指標種)を、室戸ジオパーク内の4河川(羽根川、西ノ川、東ノ川、佐喜浜川)で採取・同定した。その結果は、調査時点での水質がきわめて良好であることを示した。室戸ジオパークにおける河川水質が良好である理由として、流域面積が比較的小さいこと、流域内の環境(植生、土地利用)が自然に近い状態であることなどが考えられる。
今後は、透視度および指標生物など河川水質調査を継続するとともに、流域の地形・地質、植生、生態系など環境要因を明らかにする予定である。また、室戸ジオパーク外の河川(安芸川、奈半利川、野根川など)の調査はほとんど進んでいないが、室戸ジオパークで活動するジオガイドの中には、周辺自治体在住の人もいるので、調査への協力を呼びかけるなどして調査体制の構築に努めたい。