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[MIS16-05] 日本海東縁,隠岐トラフの表層型メタンハイドレート胚胎域におけるBGHSの特性
キーワード:表層型メタンハイドレート、BGHS、隠岐トラフ、日本海
最近の調査の進展により,山陰沖の対馬海盆や隠岐トラフが表層型メタンハイドレート賦存域であることが判明しつつある.本研究では,隠岐トラフにおけるメタンハイドレートの安定領域下限(BGHS;Base of Gas Hydrate Stability)に着目し,メタンハイドレートの集積・分解や周辺地形に与える影響について検討した.
隠岐トラフにおけるガスハイドレート安定領域下限の深度は,主に地温勾配によって支配される.隠岐トラフの南東縁に位置する若狭海丘列とその南西延長の隆起帯の地温勾配は,115-124℃/km前後の比較的高い値を示している(例えば,Yasui et al., 1966, 1968).一方,隠岐トラフ南西縁での地温測定の結果,より低い71℃/kmの地温勾配が得られた.若狭海丘列南東の水深727m地点,および隠岐トラフ南西縁の水深763m地点で実施したCTD観測データと合わせ,この2地点のBGHS深度を求めたところ,それぞれ83mbsf,157mbsfと見積もられた.
次に,海水準変動による圧力変化に伴うBGHSの上下動幅を求めた.最終氷期を想定した海水準低下量を120mに設定した見積もりでは,若狭海丘列南東の地点では約14m,南西縁の地点では約27m,現在(高海水準期)よりBGHS深度が浅くなることが判明した.BGHSの変化は,安定領域下限付近でのメタンハイドレートの形成,または分解を促す.本研究ではメタンハイドレートの分解に着目し,隠岐トラフに見られるポックマークや海底地すべりとの関連について言及する.
本研究は経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部であり,産業技術総合研究所の再委託により実施した.
隠岐トラフにおけるガスハイドレート安定領域下限の深度は,主に地温勾配によって支配される.隠岐トラフの南東縁に位置する若狭海丘列とその南西延長の隆起帯の地温勾配は,115-124℃/km前後の比較的高い値を示している(例えば,Yasui et al., 1966, 1968).一方,隠岐トラフ南西縁での地温測定の結果,より低い71℃/kmの地温勾配が得られた.若狭海丘列南東の水深727m地点,および隠岐トラフ南西縁の水深763m地点で実施したCTD観測データと合わせ,この2地点のBGHS深度を求めたところ,それぞれ83mbsf,157mbsfと見積もられた.
次に,海水準変動による圧力変化に伴うBGHSの上下動幅を求めた.最終氷期を想定した海水準低下量を120mに設定した見積もりでは,若狭海丘列南東の地点では約14m,南西縁の地点では約27m,現在(高海水準期)よりBGHS深度が浅くなることが判明した.BGHSの変化は,安定領域下限付近でのメタンハイドレートの形成,または分解を促す.本研究ではメタンハイドレートの分解に着目し,隠岐トラフに見られるポックマークや海底地すべりとの関連について言及する.
本研究は経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部であり,産業技術総合研究所の再委託により実施した.