JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS17] [JJ] 海底マンガン鉱床の科学:基礎から応用まで

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:臼井 朗(高知大学海洋コア総合研究センター)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、伊藤 孝(茨城大学教育学部)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源研究開発センター)

[MIS17-P03] 海底マンガン堆積物の微生物群集構造

*砂村 倫成1 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:マンガン堆積物、微生物群集解析、窒素循環微生物

海底で形成されるマンガン酸化物には、形成過程における微生物の関与が示唆されてきた。マンガン酸化に関わる微生物としては古くからグラム陽性の微生物群に着目が集まり、マンガン酸化能を有する微生物株の単離培養等も行われてきた。さらに、微生物群集組成解析を通じた先行研究から、マンガン酸化に関わるmnx遺伝子を有するとされる、未培養Thaumarchaeotaのグループが形成に関わる微生物群の有力な候補の一つと考えられている。一方で、マンガン酸化物からは既知のマンガン酸化微生物培養株の近縁種がほとんど見いだされず、見いだされる微生物系統群は多様であるため、マンガン酸化や沈着に関与する微生物群の特定は難しい。本研究では、マンガンクラストを含む拓洋第五海山周辺で採取した水・堆積物・マンガンクラストなど34試料を対象に、マンガン形成に関与する可能性のある微生物群の絞り込みを目的として、MiSeqを用いた微生物群集組成解析およびサンプルの産状などとの比較検討を行った。
微生物群集組成に基づいて、統計学的方法を用いて試料の分類を行ったところ、試料は大きく4グループに分類することができた。海水系試料2グループと堆積物系試料2グループであり、特に堆積物系の種類は目視による産状では区別できなかった海水と近いグループとマンガン堆積物を主体とするグループに分けられた。Acidobacteria,Gemmatimonadetes,NC10, Nitrospirae, Alphaproteobacteria(Rhizobiales), Betaproteobacteria(Nitrosomonadaceae), DeltaProteobacteria (NB1,Entotheonellales), SBR1093, WS3, Caldithrixがマンガン堆積物型微生物群集の分布と同様な傾向を示し、マンガン堆積物における特徴的な微生物群集と示された。先行研究と同様に、窒素循環に関わる微生物が卓越することが明らかになった。