JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] [JJ] 生物地球化学

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 302 (国際会議場 3F)

コンビーナ:楊 宗興(東京農工大学)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、座長:和穎 朗太(農研機構 農業環境変動研究センター)、座長:仁科 一哉(国立環境研究所)、座長:稲垣 善之(森林総合研究所)、座長:藤井 一至(森林総合研究所)

14:30 〜 14:45

[MIS19-16] 高知県の地形の異なるヒノキ林における樹冠葉量の推定

*稲垣 善之1宮本 和樹1奥田 史郎1野口 麻穂子1伊藤 武治1 (1.森林総合研究所)

キーワード:葉量、ヒノキ林、斜面

森林生態系の樹冠葉量は様々な手法で推定される。ヒノキなどの常緑樹については、サイズの異なる個体を伐倒し、樹木のサイズと葉量の関係についてアロメトリ―式を作成する。生枝下断面積あたりの樹冠葉量は樹種ごとに一定になる性質があり、様々な状態の林分について成り立つことが知られている。また、生枝下断面積は、樹高(H)、生枝下高(Hb)、胸高断面積(A1.3)から推定することができる。これらを組み合わせた樹冠葉量の簡易推定手法が提案された。この手法を用いて高知県の2地域の地形条件の異なる18か所のヒノキ林分の葉量を推定した。簡易手法で推定した林分葉量は高標高地域で14.1~19.2 Mg/ha、低標高地域で12.6~18.2 Mg/haであった。地域や斜面位置による林分葉量の差は認められなかった。D2Hを幹バイオマスの指標とし、林分ごとに対数変換したD2Hと葉量の関係を直線で回帰した。回帰直線の傾きは高標高地域で0.75~1.03、低標高域で0.92~1.05を示した。回帰直線の傾きが1の時に、幹バイオマスあたりの葉量が個体サイズに対して一定になり、傾きが小さいほど、サイズが小さい個体ほど幹バイオマスあたりの葉量が大きくなることを示す。本調査地では、傾きが1より小さい林分が多く、サイズの小さい個体は幹バイオマスあたりの葉量が大きかった。林分の収量比数と回帰直線の傾きには正の相関関係が認められた。収量比数が小さい林分は樹高成長が不良な地形条件であるが、このような林分では小さい個体の幹バイオマスあたりの葉量が多かった。一方、収量比数の大きい林分は、林冠が閉鎖するために小さい個体の葉量が大きく減少した。これらのメカニズムにより、地形条件に対してヒノキの林分葉量は比較的一定の値を示すと考えられた。