[M-IS21] [JJ] 南北両極のサイエンスと大型研究

[MIS21-01] 大型研究課題「極域科学のフロンティア」とその改定にむけて -南極観測・北極観測の新展開による地球環境変動研究-

*中村 卓司¹、杉本 敦子²、杉山 慎³、野木 義史¹、末吉 哲雄¹ (1.国立極地研究所、2.北海道大学大学院　地球環境科学研究科、3.北海道大学　低温科学研究所)

キーワード：極域科学、南極、北極

日本学術会議の学術の大型研究マスタープラン2017に採択された、「極域科学のフロンティア」計画は、過去から現在、未来にわたる地球環境の変動が際立って反映される南北両極域の重要且つ貴重な情報について、プラットフォームを整備活用して取得することで学際的研究の推進をはかるものである。両極の観測研究は重要で、北極では地球温暖化による平均気温の上昇が最大となり、気候変動の影響が最も顕著に現れ、生態系や地域住民の生活に影響を与えており、また世界経済の活動を変化させる可能性がある。一方の南極域では巨大な氷床の地球温暖化に対する応答も未だ不明な点が大きいなど、大規模な地球規模変動の可能性とその予測が重要課題である。海洋・大気循環を通じて連鎖している両極を単一のシステムとして捕らえることが必要である。計画では（１） 新内陸プラットフォームを活用した南極観測、（２） 北極域環境変動研究、（３） 総合解析による極域およびグローバルな地球システム変動の研究、の３つの側面での計画を提案した。提案は日本学術会議のIASC(国際北極科学委員会)小委員会およびSCAR(南極研究科学委員会)小委員会合同のＷＧで議論して提出したものである。同ＷＧでは昨年6月から2020年に向けて提案の大幅改定を行うことを視野に入れ、検討を開始した。本講演では、マスタープラン2017の採択課題を紹介するとともに、その背景やその後の検討状況、今後の進め方などを講演・議論する。
南極・北極は、様々な宇宙惑星科学、大気水圏科学、固体地球科学の最適な観測・調査フィールドとなっており、まさに地球惑星科学の窓となる重要な研究対象である。コミュニティの意見を多く取り入れてよりよい提案としていきたいと我々は考える。