14:30 〜 14:45
[MIS23-10] 樹木年輪セルロースの酸素同位体比による東北地方の古気候復元の可能性
★招待講演
キーワード:樹木年輪酸素同位体比、日本
樹木年輪のセルロースに含まれる酸素同位体比は、樹木自身の生理生態的な影響をほとんど受けず、降水の酸素同位体比と相対湿度という、気候学的因子の影響を受けて変化するため、日本のように降水量の多い地域においても過去の年々の気候変化の復元が可能な、有用な古気候プロキシである。
本研究では、宮城県の離れた地点で採取された2つのスギの年輪酸素同位体比を測定し、両者が高い相関関係をもったことから、宮城県の2個体のスギが何らかの古気候情報を持っている事が期待された。それを踏まえて、それらの酸素同位体比データと気象データや他県の年輪酸素同位体比を比較した結果、(1) 宮城で採取された樹木の酸素同位体比と東北地方の相対湿度の関係は単純ではなく、数十年周期で正負が逆転していること、(2) 宮城の年輪酸素同位体比と他地域の年輪酸素同位体比の関係も年によって大きく変化することがわかった。この事から、この地域が年輪酸素同位体比の規定要因が大きく変化する空間的なバウンダリーに位置している、すなわち、大規模な気候場の境界に位置していることが推測された。今後、年輪酸素同位体比データを日本中で面的に拡充していく事で空間的広がり自身の復元を目指している。
本研究では、宮城県の離れた地点で採取された2つのスギの年輪酸素同位体比を測定し、両者が高い相関関係をもったことから、宮城県の2個体のスギが何らかの古気候情報を持っている事が期待された。それを踏まえて、それらの酸素同位体比データと気象データや他県の年輪酸素同位体比を比較した結果、(1) 宮城で採取された樹木の酸素同位体比と東北地方の相対湿度の関係は単純ではなく、数十年周期で正負が逆転していること、(2) 宮城の年輪酸素同位体比と他地域の年輪酸素同位体比の関係も年によって大きく変化することがわかった。この事から、この地域が年輪酸素同位体比の規定要因が大きく変化する空間的なバウンダリーに位置している、すなわち、大規模な気候場の境界に位置していることが推測された。今後、年輪酸素同位体比データを日本中で面的に拡充していく事で空間的広がり自身の復元を目指している。