JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、北場 育子(立命館大学古気候学研究センター)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)

[MIS23-P04] 沖縄県南大東島の石筍に記録された完新世中期における気候変動と太陽活動の関係

*大嶺 佳菜子1植村 立1眞坂 昂佑1浅海 竜司1Chuan-Chou Shen2Mahjoor Ahmad Lone2 (1.琉球大学 理学部、2.国立台湾大学)

キーワード:石筍、同位体、太陽活動

高精度なU-Th年代法を適用できる石筍は、高時間分解能を必要とする古気候研究に適している。完新世におけるインド、アジアモンスーン地域では、降水量の指標である石筍の炭酸カルシウムの酸素同位体比が、太陽活動の指標である大気のΔ14Cと相関していることが示されてきた (Neff et al., 2001; Wang et al., 2005; Duan et al., 2014)。このことから、モンスーン変動が部分的に太陽活動の影響を受けていると考えられている。本研究では太陽活動とモンスーンの結びつきを評価するために、沖縄県南大東島で採取された石筍の炭酸カルシウムと流体包有物の同位体比測定を行った。
 試料は、沖縄県南大東島星野洞において工事の際に折られた石筍(HSN1、全長246 mm)を用いた。炭酸カルシウムの酸素同位体比は、試料を成長軸に沿って1 mm間隔でミリングし、Gas-bench IRMS (Delta V advantage) で測定した。流体包有物の同位体比は、試料を1.5–4.0 mm間隔で切断し、本研究室で作成した流体包有物抽出装置 (Uemura et al., 2016) を改良・自動化した手法で測定した。試料のU-Th年代は、国立台湾大学で測定した。
 HSN1の年代は約6,000–8,000年前であった。成長速度 (ca. 130 μm/yr) が早く、高時間分解能での気候復元が可能である。炭酸カルシウムの酸素同位体比変動は大気のΔ14C変動と変動パターンが~80年周期で類似していたことから、沖縄地域の気候変動も太陽活動の影響を受けることが示唆された。
参考文献:
Neff et al., Nature, 411, 290–293, 2001
Wang et al., Science, 308, 854–857, 2005
Duan et al., Scientific Reports, 4, 5159, 2014
Uemura et al., Geochimica et Cosmochimica Acta, 172, 159–176, 2016