JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、北場 育子(立命館大学古気候学研究センター)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)

[MIS23-P07] 中部日本で採集した2つの石筍記録に見られる1000年スケール変動

*森 大器2狩野 彰宏1柏木 健司3 (1.東京大学大学院理学系研究科、2.九州大学大学院地球社会統合科学府、3.富山大学大学院理工学研究部)

キーワード:石筍、最終氷期、酸素同位体

日本国内で採集された石筍からは最後期更新世〜完新世の東アジア夏期・冬期モンスーン変動が記録されてきた。本研究では,新たに2本の石筍(三重県霧穴のKA03および岐阜県大滝鍾乳洞のOT02)の酸素同位体記録を報告する。2つの石筍はいずれもMIS3の期間を示し,より古いKA03は80kaまで時代をさかのぼれる。
KA03の石筍記録は中国石筍やグリーンランド氷床と同様に,B/A温暖期の急激な変化とハインリッヒイベントに対比できる明瞭なインターバルを示した。ただし,D-Oサイクルに対応する1000年変動は,OT02には認められるもののKA03には明瞭に現れない。また,KA03の変化は37から20kaにかけて直線的に酸素同位体比が増加する傾向を示す。
霧穴付近で採集した雨水の酸素同位体比は夏に軽いという明瞭な季節変化と量的効果を示した。この地点での冬の降水量は小さいため,滴下水の酸素同位体比は主に梅雨時〜秋の降水様式に関係すると思われる。降水量は37kaからLGMまで漸進的に現象し,B/A温暖期に急激に増加したと思われる。また,ハインリッヒイベント時の三重県中央部の降水量は小さかったと考えられる。2つの石筍記録は最終氷期における夏期モンスーン強度を反映する貴重な記録になると思われる。