JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、北場 育子(立命館大学古気候学研究センター)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)

[MIS23-P09] タイ産チーク木棺の年輪酸素同位体比による300年間のフローティングクロノロジーの構築

*佐野 雅規1對馬 あかね1Pumijumnong Nathsuda2Li Zhen1中塚 武1 (1.総合地球環境学研究所、2.Mahidol University)

キーワード:年輪気候学、酸素同位体比、炭素14年代測定

近年、モンスーンアジアの各地域において、樹木年輪セルロースの酸素同位体比から降水量や相対湿度を復元する取り組みが活発化している。現時点では、現生木を対象とした研究が主体であるが、より過去に遡って気候変動の実態を把握し、その変動要因を探るためには、古建築材や考古材を分析対象とする必要がある。本研究では、タイ北西部のBan Rai遺跡に残存する木棺(チーク材)から複数のコアサンプルを採取し、その年輪の酸素同位体比を測定して300年間のフローティングクロノロジーを構築した。放射性炭素同位体のウィグルマッチングによって、このクロノロジーの末端が西暦345-390年(2σ)に該当することが分かった。紀元1〜4世紀をカバーする300年間のクロノロジーを詳しく見ると、27.0年と9.3年の卓越周期が確認できたほか、ENSOに対応する周期成分も保持させていることが分かった。タイを含む東南アジアの山岳域では、チークで木棺を作成する文化が長期にわたって維持されてきたため、他の遺跡も対象として木棺からサンプルを採取し、その酸素同位体比を測定することで、より長期にわたって気候変動を復元することが可能となる。