JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、北場 育子(立命館大学古気候学研究センター)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)

[MIS23-P11] インドネシア・ジョグジャカルタ産スンカイの年輪幅計測

*飯塚 成紀1渡邊 裕美子1田上 高広1 (1.京都大学大学院理学研究科)

キーワード:年輪、年輪幅、古気候

インドネシア地域は赤道モンスーンやエルニーニョ南方振動の影響を強く受けており、これらの気候システムを理解するのに重要な場所であるといえる。しかしながら、インドネシアにおける近代的な気象観測記録には、観測期間の短さや観測点の不足などの問題が存在する。そのため、何らかの代替指標を用いて長期間の気候変動を復元する必要がある。代替指標として鍾乳石や氷床コア、樹木年輪などが挙げられ、この中でも樹木年輪には高時間分解能で気候データが保存されていることが知られる。
 本研究地であるインドネシアでは、従来から年輪を用いた古気候学的研究が行われてきた。熱帯では年輪を作らない樹木が多いが、チークとスンカイという樹種は例外的に年輪を作ることが知られている。しかし、これまで行われてきた研究はほとんどがチークを用いたものであり、スンカイを用いた研究はあまり例がない。スンカイとチークの気候に対する応答性の違いが分かれば、樹種間での比較が可能になり、古気候の復元に役立つことが予想される。
 そこで本研究では、スンカイに関する研究例を増やすために、インドネシアのジョグジャカルタ産スンカイ3試料(samiga1, samiga2, samiga3)を観察し、年輪幅の計測を行った。最外部の年輪は2014年に形成されたことが確認できた。また、年輪幅の値や試料の形状からsamiga2とsamiga3は同一の樹木から採取した試料であると推測された。samiga1には偽年輪は観察されず、samiga2にはいくつか疑わしい年輪が存在した。そこでsamiga2とsamiga1, sungkaiNAN7(田村,2008)をcross datingすると、samiga2は偽年輪を有すると判断できた。これにより年輪数は、samiga1が28、samiga2が37となった。
 しかし、比較対象の数が少ないこと、sungkaiNAN7はセラン産のスンカイであり、本研究の試料と産地が異なることが問題点として挙げられる。スンカイの気候に対する応答性をチークと比較するためには、同一地域の多くの個体の分析が今後必要である。