[MIS23-P22] XRD decomposition法によるMIS104での氷床崩壊に関連した鉱物組成変動解析
キーワード:IRD、岩石磁気、X線粉末回折法
大陸氷床の発達・崩壊は気候変動と密接に関係していると考えられているが、北半球に氷床が出現し、その後、発達していった期間の詳細な気候変動については未解明な点が多い。我々は、北大西洋で掘削された海底堆積物コア試料について氷山起源の漂流岩屑(IRD)カウント記録と岩石磁気測定記録を比較することで、氷床崩壊と深層水循環との数千年スケールでの関係が、氷床の発達に伴ってどのように変化したのかについて研究を行っている。既に同堆積物コア試料について、大陸氷床が初めて大規模に発達したとされる海洋酸素同位体ステージ(MIS)100 付近(2.50-2.55Ma)について報告されている(Ohno et al.,2016)。
本研究では、これまで、その直前に当たるMIS104付近(2.58-2.62 Ma)を対象に、IRD粒子計測や岩石磁気分析を行い、それらの変動記録を明らかにしてきた(槙尾他、JpGU2015)。しかし、MIS104付近の堆積物を構成する鉱物については、これまで触れていなかった。
堆積物を構成する鉱物の中には、大陸氷床の起源を示唆する鉱物や海洋プランクトン殻を構成する炭酸塩など、有用な情報を提供してくれるものが含まれている。そのため、今回はX線回折測定法を用いて分析し、堆積物中に含まれる鉱物の相対量及び重量比を求めた。
測定に用いた試料は統合海洋掘削計画(IODP) Site U1314で掘削されたアイスランド南方の堆積物コア試料である。この海域はアイスランド北方で形成された北大西洋深層流の流路となっており、深層流がアイスランド周辺の玄武岩質の堆積物を輸送している。その堆積物を用いて、MIS104付近(2.58-2.62 Ma)に相当する堆積層を約4 cm間隔(約200-400年)毎に採取した。そして、堆積物中に含まれる鉱物種を同定しそれらの鉱物組成の変動を明らかにするために、X線粉末回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、堆積物試料に5 wt%の標準試料(ZnO)を加え、瑪瑙乳鉢で均質化した試料を用いた。XRD 測定はRigaku RINT 2100V XRD装置を用いてステップスキャン法で行い、その際の測定条件はステップ間隔0.02°、計測時間3秒とした。XRDデータは、プログラムソフトMacDiff(Petschick, 2000)を用いて、XRD decomposition法(プロファイルフィッティング法)により、XRD回折パターンから各鉱物の素成分(素回折ピーク)に分解し、それらのピーク強度(面積)を求めた。得られた各鉱物の回折ピーク強度を標準試料に対応する回折ピーク強度と比較することで、鉱物組成の変動を推定した。
その結果、各鉱物の相対的な変動記録が復元され、特に、石英、雲母、長石といった大陸起源を示唆する鉱物が、IRDイベントの際に、急激に増加する傾向を示した。一方、方解石は、氷期-間氷期にかけて、緩やかに増減した。しかし、北米の起源が示唆される苦灰石は、本研究区間からは、検出されなかった。本実験で得られた結果は、これまでのIRD粒子計測や岩石磁気分析の結果と矛盾なく、これらの結果を支持するものであった。
本研究では、これまで、その直前に当たるMIS104付近(2.58-2.62 Ma)を対象に、IRD粒子計測や岩石磁気分析を行い、それらの変動記録を明らかにしてきた(槙尾他、JpGU2015)。しかし、MIS104付近の堆積物を構成する鉱物については、これまで触れていなかった。
堆積物を構成する鉱物の中には、大陸氷床の起源を示唆する鉱物や海洋プランクトン殻を構成する炭酸塩など、有用な情報を提供してくれるものが含まれている。そのため、今回はX線回折測定法を用いて分析し、堆積物中に含まれる鉱物の相対量及び重量比を求めた。
測定に用いた試料は統合海洋掘削計画(IODP) Site U1314で掘削されたアイスランド南方の堆積物コア試料である。この海域はアイスランド北方で形成された北大西洋深層流の流路となっており、深層流がアイスランド周辺の玄武岩質の堆積物を輸送している。その堆積物を用いて、MIS104付近(2.58-2.62 Ma)に相当する堆積層を約4 cm間隔(約200-400年)毎に採取した。そして、堆積物中に含まれる鉱物種を同定しそれらの鉱物組成の変動を明らかにするために、X線粉末回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、堆積物試料に5 wt%の標準試料(ZnO)を加え、瑪瑙乳鉢で均質化した試料を用いた。XRD 測定はRigaku RINT 2100V XRD装置を用いてステップスキャン法で行い、その際の測定条件はステップ間隔0.02°、計測時間3秒とした。XRDデータは、プログラムソフトMacDiff(Petschick, 2000)を用いて、XRD decomposition法(プロファイルフィッティング法)により、XRD回折パターンから各鉱物の素成分(素回折ピーク)に分解し、それらのピーク強度(面積)を求めた。得られた各鉱物の回折ピーク強度を標準試料に対応する回折ピーク強度と比較することで、鉱物組成の変動を推定した。
その結果、各鉱物の相対的な変動記録が復元され、特に、石英、雲母、長石といった大陸起源を示唆する鉱物が、IRDイベントの際に、急激に増加する傾向を示した。一方、方解石は、氷期-間氷期にかけて、緩やかに増減した。しかし、北米の起源が示唆される苦灰石は、本研究区間からは、検出されなかった。本実験で得られた結果は、これまでのIRD粒子計測や岩石磁気分析の結果と矛盾なく、これらの結果を支持するものであった。