JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] [JJ] 海底~海面を貫通する海域観測データの統合解析

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 202 (国際会議場 2F)

コンビーナ:有吉 慶介(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、木戸 元之(東北大学 災害科学国際研究所)、稲津 大祐(東京海洋大学)、高橋 成実(防災科学技術研究所)、座長:桑野-吉田 聡(JAMSTEC)、座長:永野 憲(海洋研究開発機構)

15:45 〜 16:00

[MIS24-02] XBT集中観測で見られた短周期内部重力波とGPS音響測距観測に与える影響

*木戸 元之1松井 凌2今野 美冴2本荘 千枝1 (1.東北大学 災害科学国際研究所、2.東北大学 理学研究科)

キーワード:音響測距、GNSS音響結合方式、内部重力波、海中音速、海底測地

海上局のキネマティクGNSS測位と海底に設置したトランスポンダとの間の音響測距を組み合わせたGNSS/音響結合方式の海底測位解析は、海中の音速構造の時間変化に強く影響される。殆どの場合、海中音速構造は時間変化する水平成層構造でよく近似でき、通常のGNSS/音響解析も、その仮定を前提としている。その仮定から外れる水平不均質が存在すれば、海底トランスポンダの水平位置の見かけ上の揺らぎとして観察される。実際に、この揺らぎは数時間から1日程度の時間スケールでのランダムな変動として見られることが多いが、時には30分から1時間程度の明瞭な短周期振動として現れることもある。このような短周期の振動は、海中の内部重力波によるものと解釈できる。そのGNSS/音響解析への定量的な影響は、音速場の局所勾配、すなわち内部重力波の鉛直速度勾配、振幅、波長の逆数の積で評価することが可能である。しかし、この仮設を実証できるような観測データはこれまで得られていなかった。

そこで我々は、2016年に南海トラフ沿いの熊野灘において、定点のGNSS/音響観測と並行してXBTの集中観測を実施した。これにより、10分間隔で12回(計2時間)分の温度プロファイル、および集中観測の最後のXCTD計測による、内部重力波の基本性質を支配する密度プロファイルを得た。得られた温度プロファイルには振幅20mに達する明瞭な振動が水深600m程度まで見られた。次の段階の解析として、得られたデータから内部重力波の水平波長を推定し、GNSS/音響解析で見られる水平測位結果の揺らぎと比較するための局所的な音速場の実効勾配を計算する。このような短周期の海水の振動に関する基礎データは、海底圧力の微小揺らぎの解釈にも役立つと考えられる。

この研究は、SIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」および科研費15H04228、15K13557により行われた。