JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] [JJ] 海底~海面を貫通する海域観測データの統合解析

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 202 (国際会議場 2F)

コンビーナ:有吉 慶介(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、木戸 元之(東北大学 災害科学国際研究所)、稲津 大祐(東京海洋大学)、高橋 成実(防災科学技術研究所)、座長:桑野-吉田 聡(JAMSTEC)、座長:永野 憲(海洋研究開発機構)

16:00 〜 16:15

[MIS24-03] 2004年〜2005年に発生した黒潮大蛇行に伴う海底圧力変動

*永野 憲1長谷川 拓也1松本 浩幸1有吉 慶介1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:黒潮、大蛇行、海底圧力、Inverted Echo Sounder、地震観測システム

2004年7月下旬,日本南岸沖で黒潮大蛇行が形成され,2005年8月頃まで続いた.大蛇行流路の形成前には,黒潮小蛇行と呼ばれる流路の擾乱が九州南東に発生し,その東方伝播と発達を足摺沖に設置した圧力計付きInverted Echo Sounder (PIES)と室戸沖の海底地震観測システムの海底圧力計で捉えることが出来た.本研究では,大蛇行流路の形成に焦点をあて,海底圧力,衛星海面高度,およびPIES音波往復時間からGravest Empirical Mode (GEM)法を用いて算出したジオポテンシャル距離の変動を解析した.その結果,小蛇行の通過に伴うと考えられる深層の低気圧性渦の通過によって海底圧力は減少し,この海底圧力の減少は海面高度の減少に約2カ月先行していることが分かった.この表層と深層の位相のずれは,大蛇行に発展しなかった小蛇行の場合に比べると有意に大きかった.これは,大蛇行の発生に傾圧不安定が重要な役割をしていることの証拠であると考えられる.さらに,大蛇行流路の形成直後,海面高度が上昇し,その約2カ月後,黒潮直下の海底圧力が上昇した.海底圧力の高い状態は,大蛇行の崩壊の始まる2005年2月頃まで続いた.大蛇行期の海底圧力の上昇は,海底付近の流れが非大蛇行期よりも強く,海底地形による制御を受けて安定化していることを示唆している.このことは,大蛇行期初期の2004年7月下旬〜2005年2月初旬に小蛇行が発生しなかった事実と一致する.