09:45 〜 10:00
[MIS26-04] 堆積物中の吸着重元素分布を利用した水質復元:鉄酸化物による微量ウラン吸着の表面錯体モデリング
キーワード:吸着、微量重元素、鉄酸化物
地球誕生以来, 地球表層環境はさまざまな変化を遂げてきた. 地球上の生命にとって水は必須であり, 環境変化に伴って地球上の水の性質(つまり水質)がどのように応答したかを理解することは生命の起源や進化を理解する上で必須である. また地球以外の天体のおける生命存在の可能性を評価する上でも, その天体で生じた水質変遷の理解は必須であろう. 水の化学的性質を示す最も重要かつ基本的なパラメータはpHである. pH は水中における元素の化学的挙動(溶解・沈殿・錯形成)をコントロールし, 水を介したエネルギーと物質の移動を支配する. 地質学では過去の水質を当時の堆積物や化石(地質記録)に残された何らかの代替指標(プロキシ)を読み解くことにより復元するが, 汎用的に利用できるpH のプロキシは現在のところない.
天然水にはさまざまな微量元素が含まれる. 微量元素はpHをはじめとする水質条件に依存し鉱物表面に吸着する性質がある. したがって鉱物に吸着した微量元素には, 吸着当時の水質情報が保存されていると考えることができる. 「表面錯体モデリング」と呼ばれる熱力学的吸着モデルは, 水質条件の関数として重元素の吸着挙動を理論的に予測することができる. 表面錯体モデリングを逆方向に適用すると, 微量元素の吸着挙動から水質を予測できる可能性がある. 本研究は堆積物に残された微量元素情報から表面錯体モデリングを用いて, 吸着時の水質を復元する手法を構築することを目的としている.
天然水に比較的高濃度に含まれる重元素にウラン(U)があげられる. Uは熱力学的には酸素分圧がおおよそ10-50気圧以上の条件で6価の価数を持つU(VI)として存在する. U(VI)は溶解度が高く移動性が高いが, 鉄酸化物に強く吸着する性質がある. U(VI)の鉄酸化物への吸着は自然界では頻繁に認められている. 例えば, 大陸内部古代湖フブスグル湖の湖底堆積物コア中ではU濃度は年代によって変動することが確認されているが, 変動するU濃度は鉄酸化物への吸着・脱離過程により説明される可能性が指摘されている.
本研究では, 自然界に近い水質条件で鉄酸化物による微量Uの室内吸着実験を行い, その実験結果を表面錯体モデリングによりモデル化した. 構築した表面錯体モデリングにより, 古代湖堆積物のU分布を利用した古水質復元を試みた.
天然水にはさまざまな微量元素が含まれる. 微量元素はpHをはじめとする水質条件に依存し鉱物表面に吸着する性質がある. したがって鉱物に吸着した微量元素には, 吸着当時の水質情報が保存されていると考えることができる. 「表面錯体モデリング」と呼ばれる熱力学的吸着モデルは, 水質条件の関数として重元素の吸着挙動を理論的に予測することができる. 表面錯体モデリングを逆方向に適用すると, 微量元素の吸着挙動から水質を予測できる可能性がある. 本研究は堆積物に残された微量元素情報から表面錯体モデリングを用いて, 吸着時の水質を復元する手法を構築することを目的としている.
天然水に比較的高濃度に含まれる重元素にウラン(U)があげられる. Uは熱力学的には酸素分圧がおおよそ10-50気圧以上の条件で6価の価数を持つU(VI)として存在する. U(VI)は溶解度が高く移動性が高いが, 鉄酸化物に強く吸着する性質がある. U(VI)の鉄酸化物への吸着は自然界では頻繁に認められている. 例えば, 大陸内部古代湖フブスグル湖の湖底堆積物コア中ではU濃度は年代によって変動することが確認されているが, 変動するU濃度は鉄酸化物への吸着・脱離過程により説明される可能性が指摘されている.
本研究では, 自然界に近い水質条件で鉄酸化物による微量Uの室内吸着実験を行い, その実験結果を表面錯体モデリングによりモデル化した. 構築した表面錯体モデリングにより, 古代湖堆積物のU分布を利用した古水質復元を試みた.