JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] [JJ] 水惑星学

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:関根 康人(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、渋谷 岳造(海洋研究開発機構)、玄田 英典(東京工業大学 地球生命研究所)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)

[MIS26-P06] 水素-水蒸気大気下での海洋形成条件

*濱野 景子1玄田 英典1阿部 豊2大西 将徳3 (1.東京工業大学 地球生命研究所、2.東京大学 地球惑星科学専攻、3.岡山大学大学院 自然科学研究科)

キーワード:還元的な大気、海洋形成、初期表層環境、ハビタブルゾーン

海洋を形成するためには,液体の水が存在できる地表温度・水蒸気分圧が必要である.その条件は現在の地球のような惑星を想定した,水蒸気-二酸化炭素-窒素大気についてよく調べられている.一方,惑星形成の過程では円盤ガスの捕獲や金属鉄との化学反応により,初期の惑星大気は水素を大量に含みうる. 水素-ヘリウム大気を考慮した先行研究では,40 barの水素大気をもつスーパーアースは,太陽のようなG型星から10 AU離れても水素の衝突誘起吸収により地表温度が280 K以上に保たれることが示されている(Pierrehumbert and Gaidos, 2011).また,十分な集積熱や潮汐加熱がある場合,浮遊惑星や巨大惑星の衛星でも温暖に保たれる可能性がある(Stevenson, 1999; Peters and Turner, 2013).

本発表では,非灰色一次元放射対流平衡計算を行い,様々な大気量・地表の水素モル分率に対して水素-水蒸気大気の構造,また液体の水が地表に存在できる条件の検討を行った.その結果,地球質量の惑星に対して,数barの水素があればH2O-CO2で求められたハビタブルゾーンの外側でも温暖な条件が保たれることがわかった.これは,水素による大気中の平均分子量が減少する効果で,大気スケールハイトが増加し,その結果,純粋な水蒸気大気と比べて水蒸気の気柱質量が増加することによる.一方で,これは,地表の水蒸気分圧を海洋形成に十分な値に保つには,水素を加えることでより多くの水が必要であることを意味する.本発表では,放射対流平衡計算の結果に基づき,海洋が形成するのに必要な水量・水素量・軌道距離の関係を示す.