JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] [EE] 統合地球観測システムとしてのGPS/GNSSの新展開

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 303 (国際会議場 3F)

コンビーナ:小司 禎教(気象研究所気象衛星・観測システム研究部第2研究室)、加藤 照之(東京大学地震研究所)、太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、瀬古 弘(気象研究所)、座長:太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)

16:15 〜 16:30

[MTT38-08] 新しい大気天頂遅延量推定方法とその評価(その2)-ラジオゾンデ可降水量との比較

*島田 誠一1 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科 株式会社日豊)

キーワード:Zenith Total Delay, GNSS precipitable water vapor, Radiosonde precipitable water vapor

2015年の連合学会において,新しいGNSS天頂遅延量(GNSS ZTD)の推定手法を紹介し,気象数値モデルにこの手法により推定した可降水量(PWV)を同化して2010年7月15日の岐阜県南部豪雨を計算し,従来の手法によるPWVを同化した場合と比較して再現性を評価した.
新しい推定方法では,① GAMITプログラムを用いて,従来の手法で毎日のGNSS観測データから観測点の座標値を,毎時ZTD値・4時間毎の大気勾配値・独立なambiguity値とともに,IGS座標基準点の座標値を強く拘束して推定する.②直近30日間の日値座標値解から,GLOBKプログラムを用いてKalmanフィルターにより,当日の精密な観測点座標値を推定する.③こうして得られた当日の精密な観測点座標値を固定して,毎時ZTD値を4時間毎の大気勾配値・独立なambiguity値とともに推定する.
このようにして,従来の方法ではZTD解とtrade-offを生じる上下座標値を推定しないことにより,より正確なZTD解を推定することができる.
今回の発表では,新しい手法で推定されたGNSS PWVをラジオゾンデPWVと比較した.GEONET 92110(つくば1)観測点及び93002(八郷)観測点のZTD解から,気象庁つくば高層気象台の地上気圧・地上気温を用いてGNSS PWVを計算して,つくば高層気象台のラジオゾンデ観測により得られたPWVと比較した.つくば高層気象台は,92110観測点の6km南南東,93002観測点の24km南南西に位置している.例えば,2010年3月~12月の毎日の12時UTの92110点GNSS PWVと高層気象台ラジオゾンデPWVとの差は,標準偏差15.8mmで一致していた.一方,同じ観測点の従来の方法により推定したGNSS PWVと高層気象台ラジオゾンデPWVとの差では,標準偏差が17.8mmであった.新しい手法により計算したGNSS PWVの方がラジオゾンデPWVとの差のばらつきが小さく,より精度がよいと考えられる.